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[ { "utterance": "陽も沈み、すっかり暗くなった通学路を、空と二人で歩いていく。\nといっても、並んで歩いてるわけじゃない。自分の速度でどんどん前を歩いていく空を、僕が後ろから追っていく。\n他のみんなはさっさと帰ってしまっていた。友情って美しいよね。まあ、わざと気を遣われたのかもしれないけど。\n道を歩く人もほとんどおらず、帰宅途中のサラリーマンが数人歩いている程度。\nその静けさの中、妙に響く僕達の足音が、ちょっと寂しい。\nそれは、僕と空の間に流れるどこか張り詰めた空気のせいもあるかもしれない。\n僕ら二人の間に流れる、妙に冷めた空気。嫌い合ってるだけじゃない。仲が良かった二人が、お互いを本気で無視しようとしている、そんな空気。\n猫の件は、あれからすぐに片付いた。\n両親とケンカし、かわいがっていたペットを連れて友達の所に家出。\nだけどペット不可のマンションなので、昼間、誰もいないところに残しておくわけにもいかずに連れてきたらしい。\nでも学園に持ち込めるはずもなく、下校までと校庭に隠しておいたら、鍵が壊れていて行方不明になっていたとか。\n今日もさっきまでずっと捜してたいたらしいんだけど、空はよく見つけられたよなあ。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "大地", "speaker": "空" }, { "utterance": "そんなことをぼんやりと思いながら歩いていると、突然空が立ち止まり僕を呼んだ。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "え……", "speaker": "大地" }, { "utterance": "予想外の行動に、思わず僕も立ち止まる。\nけれどそんな僕に空は応えることなく、ただ黙ってその小さな背中を見せ続けていた。\n星座になったから、なんだろうか。僕の中にある空と何も変わっていない、小さな背中。\n空はそのままゆっくりと空を見上げて、やがて覚悟を決めたみたいに振り返った。\nその瞳が僕を、僕だけを見ている。強い意志を、僕への怒りを満たさせて、ただ真っ直ぐに僕を見上げている。\nそして、その小さな唇が、ゆっくりと震えた。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "なんで……守ったの", "speaker": "空" }, { "utterance": "尋ねるのでなく、非難するような口調の質問。一瞬なんのことかと思ったけれど、すぐに気付いた。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "なんで……あの学園にいるの", "speaker": "空" }, { "utterance": "……約束だったから", "speaker": "大地" }, { "utterance": "それが約束のことだと。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "……あんな約束、もうなんの意味もなくなってることくらい分かってるのよね?", "speaker": "空" }, { "utterance": "うん、分かってる", "speaker": "大地" }, { "utterance": "その強い瞳を見つめながら僕は答える。空はそんな僕の顔を睨め付けたままそれを聞くと、", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "バカみたい", "speaker": "空" }, { "utterance": "吐き捨てるみたいに言い切った。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "家から一番近いから。せめてそんなくだらない理由でも言ってくれれば、わたしもまだ納得出来たのに", "speaker": "空" }, { "utterance": "それはそうであってほしかったっていう、願いみたいにも聞こえた。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "なんで今更……守るの。殺したままにしておいてよ!", "speaker": "空" }, { "utterance": "それはそうであってほしかったっていう、祈りみたいな叫びだった。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "約束したのは、あなたじゃない。なのに、なんで!", "speaker": "空" }, { "utterance": "そう。その約束をしたのは僕じゃない。それを果たせる人はもういない。\n守れないと諦めていたはずの約束を別人によって果たされてしまった時、それはどんな想いに繋がるんだろう。\n空にとって、それがどれだけ大切な約束だったのか、今の僕にはよく分かる。それを、僕が果たしたところでなんの意味もないことも。\nだから僕も、そんな約束忘れようと思った。思ったけれど、結局忘れられなかった。\nその結果が、まさかこんな現実に繋がるだなんて、夢にも思っていなかったけど。\n七星さんに言わせれば、これが僕の運命ってやつなのかな。\nけれども、今これだけは言える。言っていいと思う。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "それでも僕は、今の自分を後悔していないよ", "speaker": "大地" }, { "utterance": "……っ", "speaker": "空" }, { "utterance": "その時漏れた空の言葉は、聞き取れなかった。だから、どんな想いで言ったものかも分からなかった。\n空はそれからしばらく黙って僕を睨み付けると、不意に恥ずかしそうに視線を外した。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "結局、わたしがきっかけを作っちゃったみたいね……大地の試験への関わり……\n本当にバカだ、わたし……", "speaker": "空" }, { "utterance": "いや、たまたま陽夏さんが選んだ試験がそれだったってだけで、別に空のせいじゃ……", "speaker": "大地" }, { "utterance": "……ありがとう", "speaker": "空" }, { "utterance": "呟くような、本当に小さなその声に、思わず聞き逃しそうになる。だけど確かに空はいった。\n間違いなく、『ありがとう』って。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "……って、何?その、この世の終わりでも見たような、いつも通りの変な顔", "speaker": "空" }, { "utterance": "いや、それいつも通りって僕泣いちゃうよ", "speaker": "大地" }, { "utterance": "なら言い換えてあげるわよ。おかしな顔", "speaker": "空" }, { "utterance": "空はそれだけ言うと、また背中を向けてどんどんと歩きだす。\n……今のありがとう、もしかして、さっきの猫の件かなあ……。\n律儀にお礼を言うさっきの空の姿を思い浮かべて、僕は小さく笑った。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "本当に、空らしいなあ", "speaker": "大地" }, { "utterance": "そして慌てて小さな幼なじみを追いかける。\nなぜだろう。本当になぜか分からない。\nだけど僕は今、この十二星座候補試験、協力を引き受けてもいいんじゃないかなって気がしていた。\nこのまま空の傍にいる。それが凄く魅力的なものに思えて。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "……もしかしたら、最初からこうなること計算してたんじゃないだろうな、陽夏さんと七星さん……", "speaker": "大地" }, { "utterance": "だとすれば、十二星座恐るべし。\n見上げてみた夜空には、当然星なんて見えもしなかった。", "speaker": "地の文" } ]
[ "空", "大地" ]
01_StellarTheater
01_Z07_converted.jsonl
[ { "utterance": "周囲を見回してみると、プールの中で綺麗に泳いでいる星亜の姿を見つけた。\n星亜なら、真っ先に調べに行くかと思ったけどそうでもないんだ。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "星亜", "speaker": "大地" }, { "utterance": "星亜は僕の呼びかけに気付いたのか、泳ぐのをやめると立ち上がり、僕の方へとやってきた。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "いいの?聞き込みとか行かないで", "speaker": "星亜" }, { "utterance": "いや、それ僕のセリフだし\n星亜こそ、こんなとこで呑気に泳いでていいの?", "speaker": "大地" }, { "utterance": "別に呑気なわけじゃないわ。私なりの捜査は、ちゃんとしてるもの", "speaker": "星亜" }, { "utterance": "星亜は言うと、更衣室の方へと視線を向ける。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "なるほど。その素敵ボディを見せつけることで男達をハニートラップにかけ、あらゆる情報を引き出そうという魂胆だね!さすが星亜だ、鬼すぎるよ!", "speaker": "大地" }, { "utterance": "ち・が・い・ま・す!\nただでさえ他の人たちがあの周辺を探ってるのに、私まで行ったりしたらそれこそ怪しまれるでしょう\nだから、こうやって少し離れたところから様子を窺ってるの。怪しい奴がいないか", "speaker": "星亜" }, { "utterance": "ああそうか。言われてみれば確かにそうだね。こうして見てるだけでも、あま姉とか頑張ってるし", "speaker": "大地" }, { "utterance": "更衣室の前では、あま姉が観葉植物の後ろに隠れて見張っていた。\n……あれだと余計警戒されるんじゃないのかなあ。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "あと、ちゃんと保険は仕掛けてあるわ", "speaker": "星亜" }, { "utterance": "保険?", "speaker": "大地" }, { "utterance": "ええ、罠。タオルをね、わざと置き忘れてるのよ、あの入り口に", "speaker": "星亜" }, { "utterance": "星亜は分かるわよね、と笑いながらウインク一つ。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "なるほど、さすがだね", "speaker": "大地" }, { "utterance": "そういうことよ。あまり大勢人が集まりすぎても、かえって警戒させるだけだもの\nとはいえ、こうして泳ぎ続けてるだけっていうのも怪しいし、適度に上がるけど", "speaker": "星亜" }, { "utterance": "星亜は言いながらプールサイドの方へと向かうと、ハシゴを掴み上にあがった。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "うわ……", "speaker": "大地" }, { "utterance": "僕の目の前だっていうことを忘れているのか、それとも気にしていないのか、星亜の指がお尻の方へと回ると、その裾を掴んで食い込みを直し始める。\nなんていうべきだろうか。僕に向けられたままのお尻と、食い込んだ水着。その隙間に入れられた指とが妙にいやらしい。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "水の中にいるっていうだけで、結構疲れもするのよね", "speaker": "星亜" }, { "utterance": "た、確かに、水泳っていうのは全身運動だし……", "speaker": "大地" }, { "utterance": "適度に水分も取っておかないと、すぐバテちゃう", "speaker": "星亜" }, { "utterance": "……糖分も……", "speaker": "大地" }, { "utterance": "そうね。疲労に甘い物はよく効くわ\n橘くんも、調査に必死になりすぎて、自分の体調のこと忘れないように気を付けなさい", "speaker": "星亜" }, { "utterance": "…………", "speaker": "大地" }, { "utterance": "どうかした?急に静まったりして", "speaker": "星亜" }, { "utterance": "……", "speaker": "大地" }, { "utterance": "橘くん?", "speaker": "星亜" }, { "utterance": "唐突に言葉の無くなった僕を心配したのか、星亜が後ろへと目を向ける。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "え……", "speaker": "星亜" }, { "utterance": "そして、僕が今何を見ているのかを悟ったらしい。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "きゃああああっ!", "speaker": "星亜" }, { "utterance": "まるで飛び跳ねるような勢いで、星亜は立ち上がり、お尻を隠した。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "な、ななななな何を見てるのよっ", "speaker": "星亜" }, { "utterance": "いや、突然目の前で男として目をそらしては女性への侮辱となる光景が広がったから", "speaker": "大地" }, { "utterance": "あう……そ、そういう時は、逆に目をそらすものでしょうっ", "speaker": "星亜" }, { "utterance": "でもそれだと、そんなに魅力ないのか、ってならない?", "speaker": "大地" }, { "utterance": "ならない!", "speaker": "星亜" }, { "utterance": "星亜は真っ赤になりながら即答で否定した。そうか、僕を気にすることを忘れてたんだなあ。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "あー、もう。初めて会った時といい、どうして橘くんの前だとこう……", "speaker": "星亜" }, { "utterance": "タイミングの神を降臨させる男、とはたまに言われます", "speaker": "大地" }, { "utterance": "あ、凄いジト目になった。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "ほんと、橘くんの前じゃあ油断一つ出来ないわね……\n私、少し休むわ", "speaker": "星亜" }, { "utterance": "星亜は深く溜息をつくと、売店へと足を向けた。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "タイミングの神様っていうのは、やっぱりいるよね、絶対", "speaker": "大地" } ]
[ "星亜", "大地" ]
01_StellarTheater
02_Z08a_converted.jsonl
[ { "utterance": "……何をやってるんだろう、これは。\n目の前にいる姉の姿に、僕は素直に首を傾げた。声をかけるべきか、それともそっとしておくべきか、正直悩む。\nとはいえ、このまま放置しておくのもちょっと気が引ける。ここは素直に声をかけておくべきだろう。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "あま姉、何やってるの?", "speaker": "大地" }, { "utterance": "僕は、更衣室へと向かう通路の入り口、その前に置かれた観葉植物の後ろに身体を隠したあま姉に声をかけた。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "大くん、し~っ", "speaker": "天音" }, { "utterance": "唇に指を当て、お静かにと注意するあま姉。もし僕があま姉の知り合いでなかったら、間違いなく怪しい人物として筆頭にあげただろう。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "……あま姉、静かにしたところでもうやたらと目立ってるよ", "speaker": "大地" }, { "utterance": "そんなことないわよ。このちんまい身体をいかした実に見事な隠密行動。あたしの灰色の脳細胞が導きだした完璧な作戦っ", "speaker": "天音" }, { "utterance": "いやあ、どっちかというと、七色に輝くおめでたい脳細胞って感じだけどなあ", "speaker": "大地" }, { "utterance": "お姉ちゃん、そんなこと言う心ない人間に大くんを育てた覚えないわよっ\n……むう", "speaker": "天音" }, { "utterance": "あま姉は拗ねたように頬を膨らますと、頬を赤らめながら観葉植物の後ろから出てきた。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "まったく、すっかりずるっこい子に育っちゃって。お姉ちゃん悲しい\nあー、でもやっぱりかわいかっこいいぞ、この弟めーっ", "speaker": "天音" }, { "utterance": "うわっ。あま姉、抱きつくの無し!じゃなくてやっぱり有り!", "speaker": "大地" }, { "utterance": "胸なんかなくっても、この温もりでご飯三杯はいける!", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "よーし、大くんパワーを思う存分充填したところで、再び調査に入るわよ", "speaker": "天音" }, { "utterance": "あま姉……", "speaker": "大地" }, { "utterance": "これは多分、この状況に自分が気に入ってるんだな、きっと。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "うん、頑張って……", "speaker": "大地" }, { "utterance": "ここは邪魔をしないでおこう。したら多分僕の負けだ。\nそうして立ち去ろうと振り返ったところで、手すりにタオルが一枚引っかけられてるのに気付いた。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "タオル?これってあま姉の?", "speaker": "大地" }, { "utterance": "ああ、そのタオル星ちゃんのよ。ずっと置きっぱなしなの", "speaker": "天音" }, { "utterance": "忘れ物?それなら届けてあげた方が", "speaker": "大地" }, { "utterance": "んー、でも本人気付いてるみたいよ、ほら", "speaker": "天音" }, { "utterance": "視線で、プールの方を示すあま姉。同じ方角に視線を向けると、そこにはプールサイドに腰掛けている星亜の姿があった。\n時々様子を確認するように、こっちの方へと視線を少しだけ向けてくる。\nどうやらプールで泳いでるフリをして、ちゃんと更衣室の方を探っているみたいだ。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "さすがだなあ……", "speaker": "大地" }, { "utterance": "僕も、ちゃんと調査を続けよう。", "speaker": "地の文" } ]
[ "大地", "天音" ]
01_StellarTheater
02_Z08b_converted.jsonl
[ { "utterance": "ええ、昨夜陽夏さんから解決した、というお話を伺いました。橘くんも、お疲れ様でした", "speaker": "昴" }, { "utterance": "いえ、あの時ここで明葉さんと白鳥さんに会えなかったら、まだ終わってなかったでしょうし", "speaker": "大地" }, { "utterance": "そう言って、昴先生の淹れてくれたコーヒーをすする。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "そういった人達に出会ったのも、橘くんの築いてきた縁の力ですよ。ぜひ誇って下さい", "speaker": "昴" }, { "utterance": "ありがとうございます。それじゃあ、すみません。これから部室の方に行くんで、これで失礼します", "speaker": "大地" }, { "utterance": "ええ、みなさんにもよろしくお伝え下さい", "speaker": "昴" }, { "utterance": "放課後、部室に集まる前に保健室へと立ち寄り、その足でまた部室へと向かう。\nまあ、陽夏さんと昴さんの関係のこともあるし、なんだかんだいっても、ここに明葉さんと白鳥さんが集まってくれてたおかげで解決もできたわけだし。\nある意味、昴先生が解決させてくれたようなもんだよなあ。いや、本当に感謝です。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "にしても、さすが陽夏さん。昨日報告受けてから、全力ダッシュで昴先生のとこきたんだろうなあ……", "speaker": "大地" }, { "utterance": "なんていうか、本当に凄まじいカップルだ。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "さて、と。とりあえず報告も済んだし、部室に急ごう", "speaker": "大地" } ]
[ "大地", "昴" ]
01_StellarTheater
03_Z02_converted.jsonl
[ { "utterance": "学生たる僕に、この街で最も似合う建物はどこだろう、と聞けばまず間違いなくみんながこう答えるはずだ。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "エロ本屋", "speaker": "魅流" }, { "utterance": "そうそう、あの桃色の空気が僕の灰色の脳細胞を激しく刺激して一つ上のステージへと……って違います!\n正解はここ、図書館!学問と知識のたまり場!", "speaker": "大地" }, { "utterance": "まあ、大地に必要な知識はごく一部だけどな。女の身体のしくみとか", "speaker": "魅流" }, { "utterance": "すっかり、えっちいキャラにされちゃってますよ、僕", "speaker": "大地" }, { "utterance": "違うのか?", "speaker": "魅流" }, { "utterance": "まったくもって違いません!", "speaker": "大地" }, { "utterance": "健康的な性少年たるもの、性に対する興味は大変重要なのです!STOP性犯罪!まずは正しい知識を持ちましょう!\nということを家で言ったら、空に凄い目で睨まれました。皐月には尊敬の眼差しされたけど。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "とりあえず、早いとこ課題の資料、探しちまおうぜ", "speaker": "魅流" }, { "utterance": "まったくもって違いません……", "speaker": "大地" }, { "utterance": "そんな魅流のお言葉に従い、僕達は図書館内を分散した。\n街の歴史かあ……ただでさえ来ない図書館でそんな僕の人生に永久に関わらないと思われる本のありかなんて、分かるわけないんだよなあ。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "漫画版三国志だとかなら全巻制覇したんだけどなあ", "speaker": "大地" }, { "utterance": "ま、大地ならそんなとこだろうな。期待を裏切らない男だぜ", "speaker": "魅流" }, { "utterance": "まあね。なんといっても僕だから", "speaker": "大地" }, { "utterance": "だろうと思って、棚の場所は既に確認してある。こっちだぜ", "speaker": "魅流" }, { "utterance": "おお、さすが魅流。いやあ頼れる女だ、うん", "speaker": "大地" }, { "utterance": "まあ、普段の魅流はまったく女を感じさせないんで、時々性別確認したくなることあるけども。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "おし、あの棚だな。んじゃ足場押さえててくれ", "speaker": "魅流" }, { "utterance": "了解ー", "speaker": "大地" }, { "utterance": "目的の資料は結構高い棚に並んでいた。魅流は僕の支えているハシゴに捕まると上っていく。まあ、僕が見たってどの資料がいいか分からないしね。\nって、おおっ!\n思わず声をあげてしまいそうになるのを辛うじて堪えた。\n目の前に確かに存在する桃源郷。\n白に水色のストライプ。まさに男の願望の具現化ともいうべきその神秘の布地は、美少女の身体を包み込むことで更にその魅力を増す。\n魅流って、普段はまったく女を感じさせないけど、穿いてるのはしっかり女なんだなあ……。\n顔そのものは美少女なわけだし、こういう光景は実に吸い寄せられます。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "どうかしたのか?", "speaker": "魅流" }, { "utterance": "いや、別に何も", "speaker": "大地" }, { "utterance": "こういう素敵な日本の風景を少しでも長く見ていたいと思ってしまうのは、僕達男の子が生きている証だと思うのです。\n中々に肉付きのいいその場所を、実に爽やかな目で眺めやる。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "魅流もさあ、やっぱり自分が女の子だってこと自覚してるんだね", "speaker": "大地" }, { "utterance": "え……?", "speaker": "魅流" }, { "utterance": "唐突な僕の質問に、怪訝そうに首を傾げる魅流。が、次の瞬間、そのスカートの中へと真っ直ぐに注がれる僕の視線に気付いたらしい。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "ば、ばかっ、見るなあっ", "speaker": "魅流" }, { "utterance": "ぼんっ、と音を立てて朱色に染まる魅流の顔。そして慌ててスカートを押さえる。\nそんな魅流の姿を見るのはもちろん初めてだ。あの魅流が見せた、女の証。それは羞恥に満ちた女の顔だった。\n懸命に隠そうとはしているものの、その手の隙間からは健康的なお尻と水色ストライプの布が確かに見える。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "こ、こらあっ、いつまで見てる気だ!視線をそらせ、早く!", "speaker": "魅流" }, { "utterance": "うーん、まさかこういう所で魅流の恥じらう姿が見られるとは……", "speaker": "大地" }, { "utterance": "なんというレア。これほどの貴重なシーンは滅多にお目にかかれません。\nとはいえ、これ以上覗き込んでいると、今後のノートレンタルなどに重大な問題が発生しかねないのでそろそろやめておこう。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "ごちそう様でした", "speaker": "大地" }, { "utterance": "僕は眼前の光景にしっかりお礼を言うと、ハシゴを支えつつ後ろを向いた。\n棚の陰に隠れていたせいか、どうやら他の人達には見えていなかったみたいだ。まさに僕だけの役得。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "まったく。あたしのパンツなんか見て喜ぶとは思わなかったぜ", "speaker": "魅流" }, { "utterance": "ジト目で僕を睨みながら、ハシゴを下りた魅流。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "そうかなあ、魅流だってちゃんと美少女だしね。喜ぶ人間は少なく無いと思うよ", "speaker": "大地" }, { "utterance": "はぁ……まったく男ってのは難儀な生き物だな。とりあえず資料は手に入れたから行こうぜ", "speaker": "魅流" }, { "utterance": "疲れたように溜息を吐き、分厚い本を手にスタスタと歩いていく魅流。その後ろ姿には、さっき恥ずかしがっていた美少女の面影はまるでない。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "……魅流にも、さっきの姿が普通になる時がくるのかねえ", "speaker": "大地" }, { "utterance": "ほんと、美少女なのにもったいないなあ。\n僕はさっきの光景を思い起こすと、魅流の後を追いかけていった。", "speaker": "地の文" } ]
[ "魅流", "大地" ]
01_StellarTheater
03_Z16a_converted.jsonl
[ { "utterance": "とりあえず必要な資料は手に入ったし、あとはそれぞれが頑張るだけだ。\n僕らはそれぞれの分担を決めると、その場で解散し、それぞれの家へと向かう。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "あれ、星亜どうかしたの?", "speaker": "大地" }, { "utterance": "他のみんながさっさと帰る中、一人残っていた星亜に気付き、ぼくは声をかける。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "あら、橘くん。まだ残っていたのね", "speaker": "星亜" }, { "utterance": "いや、それは僕のセリフなんですが", "speaker": "大地" }, { "utterance": "他にあると便利な資料とかないか、ちょっと探してたのよ。家に帰ってから足りない、じゃ時間の無駄だし", "speaker": "星亜" }, { "utterance": "ああ、なるほどね", "speaker": "大地" }, { "utterance": "でも、大丈夫そうみたいね。私も、これで帰るわ", "speaker": "星亜" }, { "utterance": "そう言う星亜だが、ふと何かを思いだしたように僕に言う。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "あ、そうだわ、橘くん。これから一緒にモールへ行かない?", "speaker": "星亜" }, { "utterance": "モールへ?", "speaker": "大地" }, { "utterance": "ええ。明石沢さんにおいしいアイスクリームのお店を教わったんだけど、一人で行くのはちょっとね", "speaker": "星亜" }, { "utterance": "へえ", "speaker": "大地" }, { "utterance": "な、何?感心した風な声出したりして?", "speaker": "星亜" }, { "utterance": "うん、感心したんだよ。星亜って、かなり真剣に十二星座目指してるからさ、もっと固い子だと思ってた", "speaker": "大地" }, { "utterance": "寄り道、絶対禁止、みたいな?", "speaker": "星亜" }, { "utterance": "うん。買い食い絶対禁止、みたいな", "speaker": "大地" }, { "utterance": "僕らは互いに言ってから顔を見合わせ、そして同時に噴き出した。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "そうねえ、確かに昔から言われてきたのよね。星亜は優等生だとか、委員長だとか\n私としては、そこまで真面目一辺倒な生活をしてきたつもりはないんだけど、それでも姉さんを目指して必死だったのはあるから、そう思われてても仕方ないのかもね\nだけど、こう見えて中身は結構普通の女の子よ、私", "speaker": "星亜" }, { "utterance": "イタズラっぽくウィンクなんてして見せる星亜。元々美人系の顔立ちなのに、その表情は妙にかわいく見えてしまう。\nかわいい美人って、ずるいよね。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "よし、それじゃあそんな星亜には思いっきり悪の道を知ってもらわないといけないよね\n大船に乗ったつもりで任せてよ。二度と這い上がれない悪の華の蜜を教えてあげるから", "speaker": "大地" }, { "utterance": "そ、そこまではさすがに、ちょっとご遠慮したいかしらねえ……", "speaker": "星亜" }, { "utterance": "僕は星亜の手を取ると、そのまま引っ張るようにして図書館を後にした。\nお目当てのアイスを食べたあと、モールの中を二人で見て回る。\n食べながら見て回る案は、最初の最初にあっさり却下された。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "星亜、モールの中はあまり歩いたことないみたいだね", "speaker": "大地" }, { "utterance": "そうね。もちろんここ自体は何度か来たことあるけれど", "speaker": "星亜" }, { "utterance": "星亜は少し興味深そうに周囲を見回すと、少し恥ずかしそうに言う。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "でも実は、平日の昼間に来たのは初めてだったりするのよね", "speaker": "星亜" }, { "utterance": "制服姿のカップルが多いでしょ", "speaker": "大地" }, { "utterance": "ええ、ちょっと驚きだわ。うちの学園って、こんなにカップルいるのね", "speaker": "星亜" }, { "utterance": "まあ、今ここにいるカップルの中では、星亜のおかげで僕らが一番目立ってるけどね", "speaker": "大地" }, { "utterance": "あら、いつからカップルになったのかしら、私たち?", "speaker": "星亜" }, { "utterance": "生まれる前から愛してました!", "speaker": "大地" }, { "utterance": "そこまで軽い『愛してる』は初めて聞いたわ\nフフ。でもまあ、たまにはそんな気分に浸ってみるのも悪くないかもしれないわね", "speaker": "星亜" }, { "utterance": "それじゃあ、ちょっとイメージチェンジなんてどう?", "speaker": "大地" }, { "utterance": "イメージチェンジ?", "speaker": "星亜" }, { "utterance": "不思議そうに首を傾げる星亜に僕は頷くと、モールの中にある店の一つに強引に押し込んだ。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "へえ、結構種類あるのね。あまり気にしたことなかったからどれも同じように思ってたけど、意外だわ", "speaker": "星亜" }, { "utterance": "かなりイメージ変わるからね。地味に重要だよ、これの選択は", "speaker": "大地" }, { "utterance": "私に合いそうなの、あるかしら", "speaker": "星亜" }, { "utterance": "そうだね……これとか……こんなのもいいかな", "speaker": "大地" }, { "utterance": "モール内にあるメガネショップ。洋服によるイメージチェンジもいいけれど、こんなのもたまにはいいんじゃないかな。\n星亜は僕の選んだメガネをかけて、鏡を覗き込んでいる。\n鏡に映った今までと違う自分の姿を、興味深げに眺めていた。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "本当、イメージ変わるわね、これ。ちょっと新鮮な感じだわ", "speaker": "星亜" }, { "utterance": "星亜はそう言いながら、様々な角度からの自分を鏡に映す。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "うーん……やっぱり見る角度とか……それともフレームの色……", "speaker": "星亜" }, { "utterance": "どの自分が一番似合って見えるか、星亜はそれを一生懸命に探しているみたいだ。\nやっぱり、いつもだったら決して見られない自分の姿が、今はとても楽しいらしい。こういうところは本当に女の子だと思う。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "でも、普段からかけ慣れてないせいかしら。やっぱり変ね", "speaker": "星亜" }, { "utterance": "もう一人の自分に、星亜はニッコリと笑いかけた。それに応えるように、もう一人の星亜も同じ笑顔を浮かべる。\n普段の星亜とは違うもう一人の星亜。その笑顔を見て、星亜がこんな可愛い女の子なんだっていうことを、僕は再認識した。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "まあ、確かにいつもの星亜とは違う感じだけどさ、美人なのは変わらないよ", "speaker": "大地" }, { "utterance": "あら、ありがと。橘くんのお世辞って、結構普通に信じそうになっちゃうから不思議よね", "speaker": "星亜" }, { "utterance": "いや、本気で言ってるんですけども……", "speaker": "大地" }, { "utterance": "星亜はもうちょっと自分のスペックを気にしていいと思うんだけどなあ。\nまあ、それで天狗にならないところが、星亜の本当にいいところなんだと思うんだけど。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "今日はありがとう。自分の知らないことでも結構やってみるものね。面白い発見があったわ", "speaker": "星亜" }, { "utterance": "いや、僕の方こそ、星亜と二人で楽しかったよ", "speaker": "大地" }, { "utterance": "気がつけば、外はすっかり夜の帳が下りていた。星亜と一緒に見て回るモールは楽しくて、ついつい時間の断つのを忘れてしまった。\n何も用がなければもう少し遊んでいてもいいんだけれど、課題もあるし、皐月が夕飯を作ってくれている。\n僕は名残惜しい気持ちを抑えつつ星亜を寮へと送ると、そのまま帰宅した。", "speaker": "地の文" } ]
[ "星亜", "大地" ]
01_StellarTheater
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[ { "utterance": "訪れたその場所は、しんと静まりかえっていた。\nここは、他と違ってワイワイ騒いで遊ぶ場所じゃない。だからこそ、他じゃ聞けない意見が聞けそうな気がする。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "あら、橘くんもここに来たの?意外ね", "speaker": "星亜" }, { "utterance": "不思議そうな顔をしながら、奥の方から星亜が姿を見せる。どうやら同じことを考えていたみたいだ。\n僕はふぁさ、と髪をかき上げると、本来の僕を見せようと星亜に答えた。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "それは心外だなあ。僕ほどこの場所が似合う勉学少年はそういないよ。この時が凍り付いたような静寂感と閉塞感。これこそ橘大地の真骨頂", "speaker": "大地" }, { "utterance": "あら、橘くんもここに来たの?本気で意外ね", "speaker": "星亜" }, { "utterance": "うわー、文句の一つも言えない爽やかな笑顔", "speaker": "大地" }, { "utterance": "だって、橘くんにしては随分と爽やかな冗談だったんだもの。笑わないと失礼じゃない", "speaker": "星亜" }, { "utterance": "うううう、冗談じゃなかったんですけどぉ……", "speaker": "大地" }, { "utterance": "はいはい、それじゃあそういうことにしておきましょうか\n事件についてだけど、一応、何人か話を聞けそうな人には聞いてみたわ", "speaker": "星亜" }, { "utterance": "さすが、仕事早いなー", "speaker": "大地" }, { "utterance": "だって、そのためにここに来たんだもの\nそれで、ここで勉強会の約束をしていたっていう人が、やっぱりその約束を忘れられていたみたい\nまあ、ここを利用してる人の数からすれば本当にごく一部だし、たまたまと言えなくもないから難しいところだけど", "speaker": "星亜" }, { "utterance": "事件とはまったく無関係の偶然、とも言えなくないね", "speaker": "大地" }, { "utterance": "約束を忘れること自体は決してありえないわけじゃないし。\nといっても、忘れなければいいということでもないけれど。知っていたって守れない約束はあるし。守るわけにいかない約束もある。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "でもそういう事実があったことだけは間違いないわ。これが無関係かどうか、調べる手段があればいいんだけど", "speaker": "星亜" }, { "utterance": "うーん、さすがにちょっと難しいだろうね。ホロスコープツリーを使うには、キーワードの絞り込みようがないし", "speaker": "大地" }, { "utterance": "そうね。そもそもホロスコープツリーが使えたとして、何をもって証拠とするのか難しいし", "speaker": "星亜" }, { "utterance": "ま、仕方ないよ。とりあえず、今のところは数で勝負といこう。微妙な証言だって数が集まれば立派な異変だし", "speaker": "大地" }, { "utterance": "あんまりスマートとは言えないけれど、確かに今はそれしかなさそうね。私はもう少しここで話を聞いてみるわ", "speaker": "星亜" }, { "utterance": "手伝おうか?", "speaker": "大地" }, { "utterance": "ありがと。でも大丈夫よ。ここは見ての通り人も少ないから。橘くんは他の場所を手伝ってあげて", "speaker": "星亜" }, { "utterance": "分かった。それじゃあ、またあとで", "speaker": "大地" } ]
[ "星亜", "大地" ]
01_StellarTheater
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[ { "utterance": "夕飯も終わり、少し部屋で横になっていたところで、朝、空に言われたことを思い出した。\n確かに皐月には甘えっぱなしだし、少しでも感謝の気持ちを伝えておくことは大事だと思う。\n分かってくれてるはず、なんていうのは、何もしてない人間の勝手な思い込みだしね。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "皐月、夕飯の片付けだけど……", "speaker": "大地" }, { "utterance": "家事に関して今三つくらいの僕が、大した問題もなく手伝えることといえば、やっぱりこれだと思う。食器洗い。\nこれなら、手を滑らさないよう注意さえすればまず問題ないはずだ。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "あ、お兄ちゃん。片付けだったら丁度終わったところですよ。お茶淹れますから、のんびりしてて下さい", "speaker": "皐月" }, { "utterance": "わあい、さすが皐月ちゃん、家事に関してすこぶる有能。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "もう終わっちゃったのか。何かあれば手伝おうと思ったんだけど……", "speaker": "大地" }, { "utterance": "お家の家事のことは全部任せて下さい。お兄ちゃんはテレビでも見ながら、のんびりしていてくれればオッケーです", "speaker": "皐月" }, { "utterance": "いや、最近は空も手伝ってるみたいだしさ、僕もまあ、いつもされてるばかりじゃ申し訳ないかなあって", "speaker": "大地" }, { "utterance": "全然申し訳なくないですよ。むしろ皐月は、お兄ちゃんのお世話ができて幸せいっぱい夢いっぱい、なんですから\nそれに、こういうのは適材適所が基本です。家事の大好きな私が、家事でお兄ちゃんを喜ばせるのはごく普通のことですから", "speaker": "皐月" }, { "utterance": "すみません、適材適所で戦力外。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "もしどうしてもっていうんでしたら、お兄ちゃんは、お兄ちゃんにできることで、皐月を喜ばせてください", "speaker": "皐月" }, { "utterance": "僕にできること、ねえ。なんだろう", "speaker": "大地" }, { "utterance": "それほど難しくないですよ。それじゃあ、まずはその床の上に座って下さい", "speaker": "皐月" }, { "utterance": "床にって、こう?", "speaker": "大地" }, { "utterance": "僕は言われたまま、床の上であぐらをかく。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "それじゃあ、お兄ちゃんから皐月に安らぎをプレゼントです\nえい♪", "speaker": "皐月" }, { "utterance": "皐月は言うが早いか僕の足を枕替わりに、床の上にゴロリと寝転がった。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "お兄ちゃん特製の、皐月のための枕です", "speaker": "皐月" }, { "utterance": "こらこら、女の子がそんな膝立てたらいけません", "speaker": "大地" }, { "utterance": "えへ、お兄ちゃんの前でだけですよ。それ以外の人の前では鉄壁の皐月ちゃんなんですから\nでも、お兄ちゃんになら、言ってくれれば恥ずかしいのガマンしちゃいます", "speaker": "皐月" }, { "utterance": "いやー、お兄ちゃん、思わず言っちゃいそうになるからちょっと勘弁してほしいなあ", "speaker": "大地" }, { "utterance": "皐月がいい、って言ってるんですから、ガマンなんてする必要ありません。ささ、言っちゃいましょう、お兄ちゃん♪", "speaker": "皐月" }, { "utterance": "な、なんていう凶悪な妹!お兄ちゃん、こんな外道な妹を持った覚えありませんよっ", "speaker": "大地" }, { "utterance": "でも、お兄ちゃん嬉しそうですよ?", "speaker": "皐月" }, { "utterance": "いや、皐月は鋭いなあ", "speaker": "大地" }, { "utterance": "いくら妹とはいえ、皐月みたいな女の子にここまで一途に想われて懐かれて嬉しくない男なんて、そりゃあいないと思うわけで。\n……できれば後ろのアングルから見たいです。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "えへへ~\nお兄ちゃんの膝枕、とっても素敵です。日頃の疲れが羽を生やして飛んで行っちゃいました", "speaker": "皐月" }, { "utterance": "まあ、この程度で皐月が喜んでくれるなら、いくらでもするけどね", "speaker": "大地" }, { "utterance": "本当ですか?お兄ちゃんの膝枕があるなら、皐月はどんな仕事でもへっちゃらへー、ですっ", "speaker": "皐月" }, { "utterance": "とはいえ、誕生日には頑張り屋さんな分、ちゃんといいもの贈るから、覚悟して受け取るようにっ", "speaker": "大地" }, { "utterance": "あ、でしたら皐月、とっても欲しいものあります", "speaker": "皐月" }, { "utterance": "お、それはぜひとも聞いておかないとだね", "speaker": "大地" }, { "utterance": "お兄ちゃんの赤ちゃん", "speaker": "皐月" }, { "utterance": "……\n皐月、さすがのお兄ちゃんでも、今の発言はちょ~っと引いちゃったかなぁ", "speaker": "大地" }, { "utterance": "ええーっ。私、お兄ちゃんにならいつでも捧げる準備万端なのにぃ", "speaker": "皐月" }, { "utterance": "お願いだから、せめて冗談で言ってくれないかなあ……。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "皐月\n普段のあなたは、えっちな行為はいけません、と言うわりに、僕の前では遠慮無くえっちな行為してません?", "speaker": "大地" }, { "utterance": "心外ですっ。これはえっちな行為じゃありません。かっこいいお兄ちゃんと、そのお兄ちゃんを一途に愛する妹とのスキンシップです♪", "speaker": "皐月" }, { "utterance": "……いや、確かに日本語って便利だけどさあ、その言い訳は通じないんじゃないかなあ", "speaker": "大地" }, { "utterance": "だから、お兄ちゃんとの赤ちゃんだって、決してえっちな行為の副産物じゃありません!お兄ちゃんと皐月の、愛の結晶なんですっ", "speaker": "皐月" }, { "utterance": "おお、なるほど!それなら確かに有りかもしれない!", "speaker": "大地" }, { "utterance": "はい!間違いなく有りです!有りなんです!", "speaker": "皐月" }, { "utterance": "って、絶対無理ですから!", "speaker": "大地" }, { "utterance": "ちぇー", "speaker": "皐月" }, { "utterance": "危ない危ない。本気で説得されかかったぞ、うん。我が妹ながらすこぶる素敵に成長しおってからに。お兄ちゃん、嬉しいけど悲しい。\nとわいえ、まじめに誕生日のプレゼントは考えないとな。普段のお返しも兼ねて。", "speaker": "地の文" } ]
[ "大地", "皐月" ]
01_StellarTheater
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[ { "utterance": "うわ、もう真っ暗だ。ちょっと長居しすぎたかなあ", "speaker": "大地" }, { "utterance": "窓の向こうは茜色すらとっくにすぎて、既に星空が浮かんでいた。\n保健室で昴先生においしいコーヒーの入れ方についてを聞いていたら、思った以上に白熱してしまった。\nやっぱり、文化祭なんていう若者の思い出いっぱい夢いっぱいイベントについては鬼門すぎたかなあ。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "でも、普段は全部皐月が淹れてくれてから気にしなかったけど、コーヒー淹れるにも色々考えないといけないんだなあ……", "speaker": "大地" }, { "utterance": "結局は厨房設備なんてないただの教室だし、本格的にコーヒー豆煎ったりとかは無理だろうし。\n昴先生自身に淹れてもらう、というアイデアは我ながらパーフェクトだと思ったんだけど、それだと最初から最後まで陽夏さんが居座りよね、絶対。\nそれはそれで売りになりそうだけど、十二星座にずっと見張られてる喫茶店じゃあ、僕らの方が疲れそうだし。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "とはいえ、さすがにインスタントはないだろうし。まあ、コーヒーミルくらいはどうにか持ち寄って……", "speaker": "大地" }, { "utterance": "とりあえず、明日にでもクラスで相談してみよう。魅流なら二・三台くらい平気でどこかから借りてきそうだし。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "ただいまー", "speaker": "大地" }, { "utterance": "僕はそう言いながら、恐らくはもう誰も残ってないだろう教室の扉を開けると中へと入った。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "別に帰ってこなくてもいいのに", "speaker": "空" }, { "utterance": "同時に、彗ならそれだけで昇天してしまいそうな冷たいお言葉が飛んでくる。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "あれ、空、まだ残ってたんだ", "speaker": "大地" }, { "utterance": "そこには、丁度カバンを手にした空の姿があった。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "学園祭の準備?", "speaker": "大地" }, { "utterance": "例の事件について何かないか聞いて回ってただけよ。わたしは当日の接客担当だから、事前にやらなくちゃいけないこと少ないし\nそういう大地こそ、とっくに帰ったと思ってたけど。今頃皐月が悲鳴上げてるんじゃない?", "speaker": "空" }, { "utterance": "学園祭の準備があるから少し遅くなる、とは言ってあるからね、さすがに大丈夫\nそれに、もう帰るとこだし", "speaker": "大地" }, { "utterance": "大地も当日の接客担当のくせに、何準備の邪魔してるのよ", "speaker": "空" }, { "utterance": "いやいや。コーヒーの淹れ方なんかについての講義を少々受けてただけだよ\nケーキとか食べ物に関しては色々考えてたんだけど、コーヒーなんかは簡単だと思ってたからさ、ほとんど準備してなかったんだよね", "speaker": "大地" }, { "utterance": "空と星亜がいるし、お客は結構来てくれるとは思うけど、一位を目指すならやっぱりそれ以外にお店としての武器を持たないと。まあ、前に実行委員様が言ってたことだけど。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "ふうん。考えてはいるのね", "speaker": "空" }, { "utterance": "僕も接客担当とはいえ、それなりには参加したいからね\nよし、それじゃ帰ろうか", "speaker": "大地" }, { "utterance": "僕はカバンを自分の机から取り出すと、空に言った。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "ちょっと待て。なんでわたしがあなたと一緒に帰らなきゃいけないのよ", "speaker": "空" }, { "utterance": "なんでって、帰る場所同じだし。それに女の子の一人歩きは物騒だよ?", "speaker": "大地" }, { "utterance": "そう返す僕に、空は大きく溜息をついた。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "はあ……あのねえ、わたし星座なのよ。そこら辺の格闘家襲う方が、よっぽど簡単なんだってこと、分かってる?", "speaker": "空" }, { "utterance": "まあ、それはでもほら、外見は普通にかわいい女の子だし", "speaker": "大地" }, { "utterance": "な、何言って……", "speaker": "空" }, { "utterance": "僕の言葉に、たちまち赤くなって焦り出す空。こういうところがやっぱりかわいいんだよね。\nそれに外見だって、空よりかわいい子って知らないんだけど、僕は。まあ、星亜とか輝夜とかあま姉とか、それに近い子達は何人か知ってるけど。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "べ、別に降りかかる火の粉くらい払えるわよ。正当防衛の範囲でだけど……", "speaker": "空" }, { "utterance": "うん。空なら確かにやるだろうね。どちらかというと襲った人に同情しちゃうくらい", "speaker": "大地" }, { "utterance": "ああ、そういうことね。つまり、わたしじゃなくて襲った方を……", "speaker": "空" }, { "utterance": "だけどさ、その後に後悔するんだよね。傷つけちゃったことを\n僕としては、空にそんな嫌な思いはさせたくない", "speaker": "大地" }, { "utterance": "……な、なによ。そういう言い方されると、文句も言えなくなっちゃうじゃない、さすがに……", "speaker": "空" }, { "utterance": "うん。傷つけて、そうして後悔しちゃうのが空だからね。どんなに肉体的に強くても、特別な力があってもさ……\nその中身は、やっぱりか弱い女の子だって知ってるから", "speaker": "大地" }, { "utterance": "僕のその言葉が、空の中で何かに触れた。恥じらっていたその顔が、一瞬でキツイものへと変わる。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "ふうん……随分わたしのこと知ってるみたいじゃない。まるで昔から、わたしを知ってるみたいな話し方\nあなたが知ってるわたしは、本物じゃないのに……\n大体、その記憶だって!", "speaker": "空" }, { "utterance": "空は叫んで、そしてハッと気付いたように言葉を飲み込んだ。そのまま申し訳なさそうに俯いてしまう。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "……ごめん\nわたしが言っちゃいけないことだよね……", "speaker": "空" }, { "utterance": "いや、問題ないよ。空の言おうとしたことは事実だしね\nでも、それでも今の僕の本音だから。空に、これ以上嫌な思いをさせたくない", "speaker": "大地" }, { "utterance": "……大地と帰ることが嫌な思いをすることだって言ったら、どうするの?", "speaker": "空" }, { "utterance": "こっそり見つからないように後つけて守ります", "speaker": "大地" }, { "utterance": "うわ、そうくる", "speaker": "空" }, { "utterance": "その僕の言葉に、空は呆れたように言うと小さく笑った。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "いいわ。変に覗かれてるくらいなら、横にいる方がまだマシだもん\n仕方ないから、帰ってあげる", "speaker": "空" }, { "utterance": "空はその手にカバンを握ると、軽い足取りで扉へと向かっていった。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "ほら、早く帰りましょ。皐月が暴れ出しちゃうわよ", "speaker": "空" }, { "utterance": "それは確かにまずいなあ。昔、帰るの二時間遅れて、警察に捜索願い出そうとしてた子だし", "speaker": "大地" }, { "utterance": "僕も慌ててカバンを手に取ると、空の後を追って扉へと向かった。\nすっかり暗くなった夜道。駅の方へと続く大通りとは違って、路地に入ってしまえば人影は殆ど見当たらない。\n道の脇に配置された街灯が、ただ静かに道を照らしている。\n今までに何度も通った道。その静寂さに何度も寂しげな思いを抱かせられたその風景。けれど今そんな風景とは違って、僕の心はどこか軽かった。\n隣に空がいる。この事実だけで、すべてが軽く感じられる。空が転校してきてから、こうして一緒に帰ったことが無い訳じゃないけれど、今は何かが違った。\n僕が空を理解したからなのか、それとも空の僕に対する感情が和らいだのか。理由は分からないけれど、明らかに以前とは違っていた。\n僕は知っている。子供の頃、空とこうして夜道を歩いたことを。小さなその手を握りしめ合って、二人で歩いたことを。\nその手の温もりと心強さを。\n今のこの空気は、どこかその時の空気に似ていた。僕の中で、僕自身が、その時のように空の温もりを求めているのが分かる。\n空はこれを、僕の本当の気持ちじゃないっていうけれど、だったらこれは空の気持ちなんだ。五年前、空が望んで、僕に植え付けた気持ち。\nその空の気持ちに応えたいって思うのは、間違いなく今の僕の本心だ。\n僕は、僕自身の意思で、それを願っている。\nその意思を、僕は少しでも見せなければいけないんだって思う。五年前、空に助けられた者として。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "空、はい", "speaker": "大地" }, { "utterance": "僕は隣の少女の名前を呼ぶと、そっと手を差し出した。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "え?", "speaker": "空" }, { "utterance": "真っ直ぐに差し出されたその手を、空は不思議そうな顔で眺める。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "……何よ、これ?", "speaker": "空" }, { "utterance": "寒くない?", "speaker": "大地" }, { "utterance": "……そりゃあ、少し冷えては来たけど、寒いっていうほどのことじゃあ……", "speaker": "空" }, { "utterance": "言葉で言ったところで伝わるとも思えないし、僕は黙って手を差し出し続けた。\n空は、僕の真意を掴もうとしてるのか、黙って僕をジッと見つめ続ける。\n一メートルもないはずの二人の距離が、今はとてつもなく遠く感じる。\n僕の意思が空の大きな二つの瞳に届くまでの短い時間。それが、まるで宇宙の星と星の間を移動してるくらいに長く感じる。\nひたすら真っ直ぐに空を見下ろす僕。正面から僕を見上げ続ける空。\nそして、まるで夜の空気の中に溶けてしまったような錯覚を覚える無音の空気の中で、空の手がゆっくりと動いた。\n僕の手を、静かに握ってくる空の手。\n夜気に冷えた手はひんやりと冷たくて、だけど温もりを感じた。\n昔とほとんど変わっていない小さな手。僕はそれを、優しく、だけど離れないように強く握り返す。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "……そういえば、昔はこんな風に手を繋いで帰ってたのよね……", "speaker": "空" }, { "utterance": "ぼそりと、空が呟くように言った。その言葉に、自然と僕の口元が緩む。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "な、何よ……", "speaker": "空" }, { "utterance": "いや、その通りだなあ、って思って\n昔の僕は、きっと今の僕と同じ気持ちで空の手を握ってたんだろうね", "speaker": "大地" }, { "utterance": "さすがにちょっと照れくさい。僕は夜空を見上げるフリをして空から目をそらすと、それでも素直に言葉を紡ぐ。\n空は、えっ、とその意味を考え、やがて、照れくさそうに微笑んだ。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "そっか……同じ、なんだ。今……", "speaker": "空" }, { "utterance": "空とこんなことをしておいて、違う気持ちになるはずないね。あの環境で育った僕なら間違いないよ\n昔の僕の気持ちは分からなくても、今の僕の気持ちと同じならよく分かる", "speaker": "大地" }, { "utterance": "……うん。否定しないであげる", "speaker": "空" }, { "utterance": "僕の手を握る空の手が、きゅっ、と少し強くなった。そこから空の想いが流れ込んでくるような気がして、自然と胸が温かくなっていく。\nそれが、昔の僕への想いでも構わない。空のこの気持ちを今の僕が感じている。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "まったく、不器用なところはそのまんまなんだから", "speaker": "空" }, { "utterance": "空は、呆れたみたいに小さく言って、そして、", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "大地", "speaker": "空" }, { "utterance": "いつもより、少しだけ優しく僕の名前を呼んだ。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "分かろうとしてくれてることは認めて上げるわ", "speaker": "空" }, { "utterance": "振り返った僕の視界に映ったその笑顔。\n確信が、あった。\n間違いなくそれは、今の僕へと向けられた笑顔だった。\n今の空が、今の僕へと向けてくれた、笑顔。", "speaker": "地の文" } ]
[ "空", "大地" ]
01_StellarTheater
A04_15_converted.jsonl
[ { "utterance": "川を流れる水の音が、夜の公園に響いていた。\n普段は別段気にもしないその音が、静まりかえった夜の空気の中、やけに大きく耳に残る。\nもう日が変わってもおかしくない時間。季節も冬への移行を始めたこの時期、周囲に人の姿は見えない。今この公園には、間違いなく僕達二人しかいない。\n二人の間に会話はなく、黙って夜空を見上げ続ける空の背中を、やっぱり黙って僕が眺め続ける。ただそれだけの時間が過ぎていく。\nけれどなぜだろう。そんな無意味でしかないはずの時間が、僕には妙に心地よく感じられていた。\n空と二人きりの空間。二人きりの時間。\nこの静寂に満ちた世界が、今は何よりも愛しく感じる。\n目の前にあるあの小さな背中が、いつも以上に寂しげで。だからこそ、この手でしっかりと抱きしめたい。\nだから僕は、空のもとへと足を進めた。\n黙って夜空を見上げ続ける空に、あの一言を伝えるために。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "……ごめんなさい……", "speaker": "空" }, { "utterance": "そんな僕へと、その背中越しに力ない言葉が飛んでくる。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "何が?", "speaker": "大地" }, { "utterance": "……結局、わたしが全部バラさせちゃった。大地のこと……\n他のみんなには、今の大地がすべてなのに……その大地を、特別扱いさせちゃった。きっと変わっちゃうよね。大地とみんなの関係……", "speaker": "空" }, { "utterance": "今にも泣き出しそうな、いや、心の中ではもう泣いてるんだろうなってわかる声。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "これでもね、守りたかったんだ、大地のこと。ほんとだよ\n大地は結構適当なところあるから、わたしがしっかりものになって守ってあげて、それで二人で幸せでいるんだって、子供の頃からずっと思ってた\nなのにわたし、結局何も守れてなかったね……\n昔の大地の記憶も、今の大地の世界も……大地の何も守れなかった……", "speaker": "空" }, { "utterance": "どこまでも深い漆黒の空。そこにわずかに煌めく銀色の星々。そんな世界を見上げながら、空は自分を責め続ける。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "ほんと、吸い込まれそうに暗いよね、この夜空。見える星なんてほんの少しでさ。子供の頃には、もっとたくさんの星が見えて、素直に綺麗だなあって呟けたのに", "speaker": "大地" }, { "utterance": "僕は空の真後ろに立つと、同じように夜空を見上げる。同じ夜空を見上げながら、僕は素直にその気持ちを言った。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "僕の中にあるさ、その綺麗な光景の記憶。この記憶をくれたのは、空だよね", "speaker": "大地" }, { "utterance": "え……", "speaker": "空" }, { "utterance": "予想外の言葉だったのか、意外そうな空の声がこぼれ落ちた。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "空は、守ってくれてるよ。数え切れないくらいたくさんの大切なものを守ってくれてる", "speaker": "大地" }, { "utterance": "だから今、あの一言を伝えよう。\n本当ならもっと早くに言わなくちゃいけなかった言葉を。\n僕が、絶対に空に伝えないといけない、その言葉を。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "ありがとう", "speaker": "大地" }, { "utterance": "っ!", "speaker": "空" }, { "utterance": "空の身体が、びくん、と大きく震えた。僕の気持ちを、驚きで受け止める。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "もし空がいなかったら、今の僕はいなかった。昔の僕が見た景色も、誰の心にも残らなかった\nこの夜空を見ても、これが普通だとしか思えなかった", "speaker": "大地" }, { "utterance": "僕は、僕の中にあるすべての記憶を思い起こして。そこにいるみんなの顔を思い描いて。\n万感の思いを込めて、もう一度その言葉を口にする。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "だから、ありがとう", "speaker": "大地" }, { "utterance": "空の身体が震えてた。小さく、微かに震えてた。そしてそのまま、震える声で言う。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "わたし、は……\nわたしは、守れてたのかな。大地のこと……", "speaker": "空" }, { "utterance": "もちろん", "speaker": "大地" }, { "utterance": "そう、なんだ……守れてたんだ……", "speaker": "空" }, { "utterance": "ああ、僕はずっと守られてた。それに、みんなだったら問題ないよ。今日はさすがに初めて聞いたせいで驚いてたけどさ、明日からは今まで通り。絶対に何も変わらない\nいつも通りに騒がしくて、ちょっとバカで、だけど退屈なんてさせてくれない優しい仲間達\nだから僕は、空にも変わってほしくない。今まで通りに僕を怒って、時々笑って、結局呆れて、だけどやっぱり最期には笑ってくれて。そんな空がいい", "speaker": "大地" }, { "utterance": "大地は、それでいいの?", "speaker": "空" }, { "utterance": "うん、それがいい", "speaker": "大地" }, { "utterance": "ばか……", "speaker": "空" }, { "utterance": "迷うことなく言い切った僕への空の返答は、どこか照れくさそうだった。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "でも……\nありがとう", "speaker": "空" }, { "utterance": "言いながら、空がゆっくりと振り返る。そこにこぼれる涙と、けれど溢れるような笑顔を浮かべながら。\nそこにある微笑みは、間違いなく僕へと向けられたもの。昔も、今も、関係ない。橘大地へと向けられた、泉空の笑み。\nその、どこまでも澄んだ純粋な微笑みは、間違いなく僕だけに向けられた、僕だけの笑顔。\nその笑顔を見て、僕は改めて思う。\nやっぱり僕は、この少女が好きなんだって。\nこの少女を、僕だけのものにしたいんだって。\nそして、それを実現させるために今必要なもの。それは……。\n僕は空を真っ直ぐに見つめながら、言った。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "ねえ、空。もし僕が、あの子から記憶を取り戻したいって言ったら、どうする?", "speaker": "大地" }, { "utterance": "それは、僕が僕を取り戻すこと。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "え……", "speaker": "空" }, { "utterance": "その突然の僕の言葉に、空は驚いて目を見開く。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "もし僕が記憶を取り戻したら、昔の僕に戻れたなら……\n僕達は、昔の僕達に戻れるのかな", "speaker": "大地" }, { "utterance": "大地……", "speaker": "空" }, { "utterance": "この先を言うのにはさすがにちょっと勇気がいる。僕の中に与えられた記憶。そして僕自身が作ってきた記憶。その両方から僕が得た感情。\n僕が僕の意思で手に入れた感情で、これは間違いなく今の僕の本心だから。\nその先の答えを想像しただけで足が震えそうになる。自分をそんな臆病だなんて思ったことはなかったけれど、どうやら空に関してだけは違うみたいだ。\nこの先の想いを空に切り捨てられること。僕は今、それがたまらなく恐い。だけどなんとなく分かる。この気持ちを伝えることが許されるのは、きっと今だけだ。\n今伝えなければ、僕も、空も、二人ともが何かを失うことになる。\nだから僕は大きく深呼吸をし、自分の心に活を入れ、必死に地面に両足で踏ん張り、空の小さな身体へと向かって、言葉を、投げる。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "僕は、空と一緒にいたい\nだから、もしそのための条件が昔の記憶を取り戻すことだっていうなら……今の僕を捨てて昔の僕に戻ることだっていうなら……\n僕は、記憶を取り戻したい", "speaker": "大地" }, { "utterance": "……", "speaker": "空" }, { "utterance": "しっかりと空の瞳に向けられた僕の視線。その視線を、空は正面から受け止めてくれていた。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "そんな条件、いらない", "speaker": "空" }, { "utterance": "そして小さく、けれど確かに笑いながら、その首を左右に振った。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "本当は、わたしも分かってた。大地は、大地なんだって\nわたしが移したのは、所詮は七年前までの記憶でしかないの。でもそれからの七年間、大地はしっかりと生きて来て、自分の記憶をちゃんと手に入れてた\nわたしの望んだ通りの大地、だなんておこがましい考え。結局、大地は大地なのよ\nだけど、どうしても認められなかった……わたしとの時間を失った大地を認めたくなかった。認めるのが恐かった\nなのに不思議よね。あんなに許せなかったことなのに……\nそれが今、こんなにあっさり言葉になる。大地がわたしを認めてくれた。見てくれてたって分かっただけで、こんなに素直に気持ちが溢れてくる\n今までの自分が、本当にバカみたい", "speaker": "空" }, { "utterance": "空はそう言いながらも笑っていた。まるで、今までの自分を否定できることが嬉しいみたいに。\nそしてその笑顔が、少し切なげなものへと変わる。\n星明かりの下、その頬をわずかに赤らめながら、僕を見上げる空。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "大地はさっき、わたしに変わってほしくないって言ったけど……ごめんね。無理みたい\nわたし、大地にもう、今までみたいな態度、とれない\n大地は、こんなわたしでもいい?大地の知っているわたしとはきっと違う、今の『泉空』だけど……", "speaker": "空" }, { "utterance": "怯えと期待。正反対の想いに、空の瞳が揺れていた。二つの大きな瞳に、空の気持ちがいっぱいに浮かび上がっている。\nその答えを言うのに悩む必要はなかった。僕の気持ちなんて、最初から決まっている。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "僕が知っているのは今の空だよ。だけどそれはきっと、昔の僕が知っていた空のままだ\nだから僕は、今の空がいい", "speaker": "大地" }, { "utterance": "言って僕は、そっと空の両肩に手を置いた。そのまま、僕の想いを行動で示す。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "ん……", "speaker": "空" }, { "utterance": "既に覚悟を決めてくれていたのかもしれない。空は抵抗することもなく、素直に僕を受け入れてくれた。\nそれは思っていたよりもずっと小さくて、ずっと柔らかくて、ずっとずっと熱かった。\nただその気持さを少しだけ確かめ合う。そんな子供のキス。二人の唇を重ね合わせるだけのキス。\nただそれだけの行為なのに、身体中の血液が炎になってしまったみたいに熱く昂ぶる。\n空のその唇が、柔らかさが、温もりが、その想いが、今僕だけのものになっている。\nそれは今までに感じたことがないほど強烈な興奮になって、僕の心と身体の中を駆け巡った。\n七年前に失ってしまったもの。僕は今日それを、この手に抱きしめた。\nもちろん、すべてを取り戻せたわけじゃない。だけどそれでも、今この手の中に空がいて、こうして想いを重ね合ってる。\nそして僕達はゆっくりと唇を離した。それでもすぐ目の前。ちょっとでも屈めば、すぐにまた触れ合える距離。\nそんな目の前で、空は、はにかむように笑って言った。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "……キスって、凄いね。身体の一カ所を触れさせるだけなのに、わたし、心臓のドキドキが止まってくれない……\n今、胸がいっぱいで……頭も真っ白で……\nもうね、本当に、これしか言えないの……\n大地、大好き♪", "speaker": "空" }, { "utterance": "聞いてる方も赤面してしまうようなその言葉を、空はやっぱり赤面しながら言った。\n僕も当然赤面したけれど、それでも恥ずかしいと思えなかった。むしろ嬉しいだけだった。\nだから僕は、そのお返しに、\nもう一度、その桜色の唇を奪った。\n静まりきった夜の公園。ただ水の流れるささやかな音と、風に揺れる葉の音だけが拡がるその場所で、\n僕達は一つになっていた。\n僕達二人が、一人になっていた。\nそれは、僕と空が前を見始めた証。昨日なんかじゃなく、明日を向いた証。\n僕達は今日確かに、新しい絆を手に入れた。", "speaker": "地の文" } ]
[ "空", "大地" ]
01_StellarTheater
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[ { "utterance": "今日がどれだけ特別な日なのか、寝る前に自分に100回ばかし言い聞かせ、さらにベッドの中で目を閉じてから、脳内でイメージトレーニングを一時間ばかし。\nその甲斐あってか、自然と意識が目覚めていた。\nまだ目を閉じているから時間は確認していない。だけど僕は確信出来る。\n僕の勝ちだ。\nさあ、このままパチッと目を開いて、爽やかな朝を勝ち取ろう!", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "だ~いち♪", "speaker": "空" }, { "utterance": "……あれ?\nそう心の中で意気込んだ瞬間、いきなり聞こえた空の声。幻聴?\nそんな僕の疑問は、", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "目覚ましのない大地のために、空ちゃんが優しくモーニングしてあげにきちゃったぞっ", "speaker": "空" }, { "utterance": "そんな明るく幸せいっぱいな声で吹き飛んだ。どうやら本物みたいだ。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "空?大丈夫起きて……", "speaker": "大地" }, { "utterance": "起きてるよ。そう僕が言おうとした瞬間、", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "ほ~ら、あっさ、だぞ~♪", "speaker": "空" }, { "utterance": "温もりという名の幸せに満ちた掛け布団が、がばっとはぎ取られた。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "優しくないっ。優しくないです、それ。空さんっ!", "speaker": "大地" }, { "utterance": "そう叫びながら見上げたそこに立っていた空は、僕の知っている空とどこか違っていた。\n見たことのない服に髪飾り。明らかにいつも以上にかわいく着飾ったその格好に、思わず見とれてしまう。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "あれ、そう?", "speaker": "空" }, { "utterance": "そんな僕の気持ちに気付くことなくニコニコと微笑み続ける空に、僕の中で、ちょっぴりイタズラ心と欲望が芽生えた。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "でもあの……", "speaker": "空" }, { "utterance": "不意に、空が視線を逸らして口ごもる。その瞬間を、今の僕が見過ごすはずがない。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "きゃあっ", "speaker": "空" }, { "utterance": "僕はいきなり起き上がると、そのまま空の身体を捕まえて、一気にベッドの上に押し倒す。さっきまでの二人の位置が、まさに入れ替わった。\n乱れたスカートの隙間から見える下着は、やっぱり空らしくてかわいらしい。変に大人ぶっていないところが、空のかわいさの一つだと思う。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "こ、こら、大地っ。嬉しいけど、じゃなくて、服が皺になっちゃう!こ、こういうことするならまた別の日に、でもなくて、い、いいから今日はだめぇっ!", "speaker": "空" }, { "utterance": "空は予想外の事態に少しパニックモードに落ちつつも、必死に僕を拒絶しようとするけれど、どうにも全力では出来ないらしい。\nベッドの上で真っ赤になりながら固まっていた。\n僕は、そんな空の首筋に、そっと顔を埋める。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "あれ、いつもと違う匂いがするね。いつもだっていい匂いがするけど、今日はまた違ったいい匂い。甘い香りだ", "speaker": "大地" }, { "utterance": "こ、こらぁ。そんなことされたら、思わずもっとしてほしくなっちゃうじゃない……", "speaker": "空" }, { "utterance": "うん。空、柔らかくてこうして抱きしめると丁度すっぽり収まるいいサイズで、気持ちいいなあ", "speaker": "大地" }, { "utterance": "そう囁きかけながら、小さな空の身体を強めに抱きしめる。あったかくて、柔らかくて、甘い香りがして……うわ、これちょっとまずいかも。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "だ、だめぇ……拒めなくなっちゃうからぁ……き、今日はデートの日で……\nあ……大地、意外に力強くて……", "speaker": "空" }, { "utterance": "空……", "speaker": "大地" }, { "utterance": "大地ぃ……", "speaker": "空" }, { "utterance": "耳元で響くその声は、確かに甘く濡れていた。\nその声をこぼしている小さな唇を、このままそっと塞いでしまいたい。そしてそのまま、この華奢な身体を僕の手で優しく蹂躙していきたい。そんな欲望が激しく湧いてくる。\n僕は、このままその胸へと伸ばしてしまいそうになる手を必死に堪え、どうにか顔を上げた。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "よし!朝の空分補給完了!これ以上は僕がもたなくなっちゃうからね", "speaker": "大地" }, { "utterance": "そして、そう口にして、空の上から床に降りる。うん。ここで強制的にでも身体を剥がさないと、絶対に先に進んじゃう。\n危ない危ない。自分で始めておきながら、そのままはまっちゃうところだった。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "え……あ……う、うん、そうよね。今日はデートだもん、ほどほどにしないと……\nま、また、ぎゅってしてね……?", "speaker": "空" }, { "utterance": "空はベッドから降りると、素早く服を直してそう僕に言う。そのまま、そそくさとドアへと向かっていった。\nが、", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "で、でもさあ……", "speaker": "空" }, { "utterance": "不意に立ち止まって振り返る。真っ赤な顔のまま、恥ずかしそうに視線をそらすと、", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "お、男の子って、毎朝そんなになっちゃう、の……?", "speaker": "空" }, { "utterance": "そんなことを言い出した。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "はい?", "speaker": "大地" }, { "utterance": "僕はその質問に一瞬惚けて、そしてすぐに今の自分に気がついた。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "あのね……布団はいじゃった時から気になってたんだけど……", "speaker": "空" }, { "utterance": "健康な男の子の、朝特有の生理現象。しかもそれは、さっきの空を押し倒したことで、更なるパワーアップをしてる。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "……", "speaker": "大地" }, { "utterance": "……", "speaker": "空" }, { "utterance": "きゃあ~、空のえっちぃっ!!", "speaker": "大地" }, { "utterance": "ち、違うもんっ!そ、そんなになってるなんて、あの、聞いたことしかなかったし、ほ、本当に思いもしなかったんだもんっ!\nそ、それで、どうなの?やっぱり……なっちゃう、の……?", "speaker": "空" }, { "utterance": "な、なっちゃうんですーっ。恥ずかしい僕をこれ以上見ないでえぇっ", "speaker": "大地" }, { "utterance": "ご、ごめんなさあいっ!!", "speaker": "空" }, { "utterance": "慌てて前を隠す僕と、僕の悲鳴に弾けるように逃げ出す空。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "ぐすん。僕もうお婿にいけない……", "speaker": "大地" }, { "utterance": "空に責任取ってもらおう。\n何かが違う気がするけど、きっと気のせいだ。", "speaker": "地の文" } ]
[ "空", "大地" ]
01_StellarTheater
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[ { "utterance": "あれ?", "speaker": "大地" }, { "utterance": "夕飯も終わって、見たいテレビ観た。とりあえず今日必要なことはこれで終えたから、そろそろ休もう。そう思っていた矢先のことだった。\n明日の時間割を確認し、カバンを開いたところで中から出てきた一枚のプリント。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "……これ、なんだっけ", "speaker": "大地" }, { "utterance": "どうやら科学の授業でもらったプリントみたいだ。えーと……", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "って、明日締め切りの課題じゃん!", "speaker": "大地" }, { "utterance": "しまった、忘れてた。そういえばそんな話、先週の授業で聞いてた気がする。忘れたりしたら、更にオマケがドン、だっけか。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "いやいやいやいや、落ち着け僕。まだ慌てるような時間じゃない。今思い出せたことこそ間違いなく天啓。これからやってしまえば問題無いじゃないか", "speaker": "大地" }, { "utterance": "よーし、これくらいの問題、教科書見ながらやれば問題無し。いざおいでませ、教科書さま!!", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "あれ?教科書ない?", "speaker": "大地" }, { "utterance": "カバンの中をゴソゴソと漁ってみるものの、中に目当ての教科書様のご尊顔は見当たらなかった。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "……ひょっとして、いつものクセで、机の中に置き忘れてきたかなあ……", "speaker": "大地" }, { "utterance": "こいつはまいった。プリントの問題を見るかぎり、今の僕の灰色脳細胞で解けるような問題じゃない。教科書様がなんとしても必要だ。\nとはいえ、今から学園に取りに戻るには……さすがにちょっと遅いなあ。捜査とかのためならまだしも。\n他にどうにかして教科書を手に入れる方法は……。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "あ", "speaker": "大地" }, { "utterance": "いけないいけない。なんでこんな方法に気がつかなかったんだろう。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "空に借りればいいんじゃないか", "speaker": "大地" }, { "utterance": "善は急げ。僕は立ち上がると、真っ直ぐ空の部屋へと向かった。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "空、いる?", "speaker": "大地" }, { "utterance": "ノックをしてみるものの返事はない。リビングかな?", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "まあ、教科書を借りるだけだし、ちょっとお邪魔させてもらおう\n空の部屋は、相変わらず質素だなあ", "speaker": "大地" }, { "utterance": "質素というか、物がなさすぎるというか。\n前に一度、この辺を空に聞いたら", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "だって、居候の身だもの、わたし。そこで好き勝手に荷物増やしちゃうわけにいかないじゃない", "speaker": "空" }, { "utterance": "なんて、笑って返された覚えがある。\n別に、もう家族も同然なんだし、そんな気遣いはしてほしくないんだけどな、僕としては。\nちょっぴり寂しい気持を抱きつつ、改めて部屋を見回すと、机の上に見覚えのあるアイテムが増えているに気付いた。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "これ、デートの時のやつだよね", "speaker": "大地" }, { "utterance": "僕が、ゲームセンターで取ったうさぎのぬいぐるみ。それが大事そうに机の上に置かれている。\nこういうの見ちゃうと、やっぱり嬉しくなるなあ。\nあのデート、特に終わりの喫茶店での出来事は忘れられない。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "空、甘かったなあ……", "speaker": "大地" }, { "utterance": "あの時の空との一時を思い出し、僕は思わず声に出していた。空と食べたデザートの味が、いや、デザートと一緒に食べた空の味が、僕の脳裏に鮮明に思い出される。\nそういえば、あの日、帰り際の空、何か様子が変だったっけ。\n……まさかとは思うけど、実は何か病気だとか、体調あまり良くないのを隠してるとか、そういうこと……ないよね?\nそんなことまずありえない、と思いはするものの、一度考えてしまうとどうにも膨らんでしまって困る。\n特に、あるはずがない、という事故に僕らは一度巻き込まれ、引き離されてる。僕はもう二度と空と離れたくない。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "調べてみようかな……", "speaker": "大地" }, { "utterance": "今の僕には、ホロスコープツリーがある。もし、あの夜をこれで再生できるなら、きっと何か分かるはず。", "speaker": "地の文" } ]
[ "空", "大地" ]
01_StellarTheater
A05_09_converted.jsonl
[ { "utterance": "僕の部屋のベッドの上に二人並んで座る。僕も空も初めての経験。二人ともガチガチに緊張してるのが分かる。\n空の小さな身体を今すぐにでも押し倒したい。そう思っていたはずなのに、いざその時になると身体が動いてくれない。\nこの可愛い恋人を、もっともっと大切に、優しく感じたい。感じさせたい。そんな想いで胸がいっぱいになる。\n僕はその、少し力を入れるだけで壊れてしまいそうな空の胸を、服の上からそっと触れた。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "んっ……", "speaker": "空" }, { "utterance": "細い身体が、ぴくんと震える。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "ごめん、痛かった……?", "speaker": "大地" }, { "utterance": "う、ううん、違うの。大地の手優しくて……その、気持ちよかったから……\nだから、もっとお願い……", "speaker": "空" }, { "utterance": "分かった。こんな感じで、かな……", "speaker": "大地" }, { "utterance": "その、想っていたよりもやっぱり小さな膨らみを、壊れ物でも扱うようにそっと揉む。\n小さいけれど、それでも確かに膨らんでいるそこは、ふにふにと柔らかな感触を僕の手に返してくる。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "あ……んうっ", "speaker": "空" }, { "utterance": "輝夜の胸みたいな強い弾力はないけれど、それでも空の胸の柔らかさだと思うだけで、自然と心が昂ぶってくる。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "空。少しくらいなら声出しても、皐月は下だし大丈夫だよ", "speaker": "大地" }, { "utterance": "僕の手の動きに合わせて、もじもじと身体を動かす空。その感覚を、どうにかして耐えようとしてるみたいだ。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "そ、それは分かってるんだけど……でも、やっぱり恥ずかしくて……\nご、ごめんなさい。やっぱり萎えちゃう……?", "speaker": "空" }, { "utterance": "全然。空の身体、ふるふる震えててさ、すっごくかわいい", "speaker": "大地" }, { "utterance": "だ、だって……大地の手、優しいけどいやらしいんだもん……", "speaker": "空" }, { "utterance": "それはやっぱり仕方ないことかと。男として、こんなに可愛い空と初めてこんなことをして、冷静でいろっていう方が酷です。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "僕も男だからね。一番大切な子と初めてこうなれば、やっぱり色々しちゃうんです。やだ?", "speaker": "大地" }, { "utterance": "だけど、だからといって本能のままに空を汚したいわけじゃない。空にだって、感じて欲しいし、喜んで欲しい。\nだから、もし空がいやがるようなら、ここでやめたい。ここまでなら、まだ辛うじて自分を抑えられるから。すっごく辛いけど。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "……ううん。大地にだったらいい……", "speaker": "空" }, { "utterance": "空は、そんな僕の気持ちを知ってか知らずか、小さくかぶりを振った。\n恥ずかしそうに顔を赤らめながらも必死にガマンして、僕にすべてを捧げようとしてくれるその態度が、普段以上に空を可愛く映す。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "それじゃあ、ごめん。空の、見たい", "speaker": "大地" }, { "utterance": "そんな空の態度に、僕も歯止めが効かなくなってくる。伸ばした僕の手に、空は緊張に身体を強ばらせたものの、拒否はしなかった。\n僕は空の上着を掴むと、そっと上へとズリ上げる。黒い服の下から可愛らしいピンク色のブラが姿を見せた。\nその可愛らしいブラも一緒にズリ上げると、小さな空の膨らみが姿を現す。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "あの、やっぱり変、かな……わたしがブラしてるの……\nちっちゃいし、あまり意味ないし……", "speaker": "空" }, { "utterance": "僕に見られた、というよりも、その大きさに恥ずかしがるように言う空。羞恥に頬を染めたまま、それでもその身体を隠そうとはせずガマンしている。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "そう?空によく似合ったかわいいデザインだし、胸も少しくらい小さくてたってちゃんと膨らんでるし、それにこんなに柔らかくて……", "speaker": "大地" }, { "utterance": "あん……", "speaker": "空" }, { "utterance": "その膨らみへ、さっきまでとは違い直接触れる。服の上からじゃあ分からなかった空の体温が、その確かな柔らかさと一緒に僕の脳髄を刺激した。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "中心だって敏感で、こんな風にすぐ尖っちゃって……", "speaker": "大地" }, { "utterance": "その中心にある小さな突起を、そっとつまむ。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "きゃうっ……あ、や、あ、だめ、つねっちゃ……っ", "speaker": "空" }, { "utterance": "その柔らかな部分よりもずっと敏感な場所。今までとは違う固い感触と一緒に、空がその身体を震わせる。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "こんなに女の子してるんだから、ちゃんとブラして守らなくちゃ", "speaker": "大地" }, { "utterance": "ん、あ、あんっ……や、あ、胸は、びりびり、きちゃっ", "speaker": "空" }, { "utterance": "その感触がたまらなく気持ちよくて、つい胸を揉み続けてしまう。\nふにふにとした柔らかさに、空の可愛らしい声。それだけで、女の子の身体がどれだけ素晴らしいかが分かってしまった。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "小さい分敏感なのかも。空のかわいい声も聞けるし、空の胸、凄く気持いいよ\nこのまま、こうしてずっと揉んでたい", "speaker": "大地" }, { "utterance": "やんっ……せ、先端ばかり……ん、あ、だめ、こ、声出てきちゃう……", "speaker": "空" }, { "utterance": "ツンと尖ってきた先端を、クリクリといじり続ける。懸命にガマンをしているんだろうけれど、もう限界みたいだ。\n赤く上気した顔に、明らかな変化が浮かぶ。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "は、あ……あふ……", "speaker": "空" }, { "utterance": "その唇からこぼれる吐息は、もう充分に甘い。\n太ももに挟まれた手は、もじもじと動いて止まらない。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "空って、こんな尖るんだ……凄い……ちょとつまむだけでコリコリって……", "speaker": "大地" }, { "utterance": "あ、ああっ……や、そこは……ひゃんっ", "speaker": "空" }, { "utterance": "ちょっと強めにつまんだ瞬間、空の背中が弓なりに反った。\n同時に、確かな快楽に染まった声が室内にひびく。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "空の胸、本当に敏感なんだね……こうして触ってるだけで、感じてくれてるの伝わってくるよ", "speaker": "大地" }, { "utterance": "そ、そんな、胸ばかり触って……あ、あう、ん、ああっ", "speaker": "空" }, { "utterance": "柔らかい乳房の感触と、固く尖った乳首の感触。同時に味わう正反対の感触と、甘く響く空の声。そして、確かに感じている空の顔。すべてが僕を昂ぶらせる。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "ん、んあ……あ、んんうっ……!", "speaker": "空" }, { "utterance": "それでもどうにかガマンしようとしているみたいだけれど、壊れてしまった堤防は、もう戻りそうにない。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "だ、だめ……わたし、切なくなって……ああんっ", "speaker": "空" }, { "utterance": "僕の胸の愛撫に、空の身体から力が抜けていくのが分かる。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "……僕も感じてる空見てたら、もう我慢できなくなってきちゃったよ\n他の場所も、いい?", "speaker": "大地" }, { "utterance": "……うん", "speaker": "空" }, { "utterance": "恥ずかしそうに、だけど確かに頷きながら答えてくれる空。すっかり僕に寄りかかるようになっていたその身体を、僕はそっとベッドに横たえた。\nたった一枚の布地しかない下半身は、僕の目を自然と引き寄せた。\n普段だったらこの下着を見られるだけでも幸せなのに、今は更に先がある。目の前の細い身体を、僕はじっくりと眺めていく。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "ブラとお揃いか。かわいい下着だよね", "speaker": "大地" }, { "utterance": "ズリ上げられたそれと同じピンク色のショーツ。辺に大人びていないそれは空らしくて、よく似合っていた。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "大地は、子供っぽいの、いや……?", "speaker": "空" }, { "utterance": "なんで?空に似合ってるし、別に子供っぽいとも思わないけど", "speaker": "大地" }, { "utterance": "恥ずかしそうに尋ねてくる空に、僕は思ったままを即答する。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "やっぱり似合ってるのが一番だし。それにさ、どーせ男で空の下着見られるのなんて、僕だけだし。だったら問題ないんじゃないかな", "speaker": "大地" }, { "utterance": "う、うん。大地がいいって言ってくれるなら……", "speaker": "空" }, { "utterance": "それに、そんなの関係無しに空の身体綺麗だし……", "speaker": "大地" }, { "utterance": "あ、あんまりじっくり見ないでね。わたし、こんな体型だし、自信ないから……", "speaker": "空" }, { "utterance": "この綺麗な身体を見て反応しないなんてもったいな過ぎると思う。体型がどうかなんて関係ない。空の身体というだけで、他の誰よりもいやらしく僕には見えた。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "ごめん、約束できない。この身体が目の前にあってじっくり見られないなんて、我慢できない", "speaker": "大地" }, { "utterance": "僕は言って、その空の膨らみへと再び手を伸ばす。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "あ……やっぱり、大地の触り方、優しいよね\nだから、こうしてちょっと触られてるだけなのに、気持ちいい……", "speaker": "空" }, { "utterance": "再び手のひらから伝わってくる空の体温に、ゆっくりと撫で回す感じで手を動かす。\n柔らかい感触を味わいながら、先端の突起を軽くつまむと、空の喘ぎが小さくこぼれた。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "ん、あ、はぁ……だ、め……声出ちゃう、よぉ……", "speaker": "空" }, { "utterance": "空の胸、柔らかくて、反応よくて、ずっと触っていたくなっちゃうんだよね", "speaker": "大地" }, { "utterance": "まるで吸い付いてくるような空の胸に、このままいつまでも揉みしだいていたい衝動に駆られてしまう。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "でも、僕も空の全部がほしいから……こっち、いくよ", "speaker": "大地" }, { "utterance": "けれど、僕が今欲しいのは空のすべてだから。僕はそんな欲望を抑えこんで、空のもっと恥ずかしい場所へと手を下ろす。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "あ……", "speaker": "空" }, { "utterance": "ショーツの上から、空の下の唇へと指を這わした。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "ひゃんっ", "speaker": "空" }, { "utterance": "今まで以上の喘ぎと共に、小さな身体が大きく跳ねた。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "や、あ、そこ……", "speaker": "空" }, { "utterance": "空の一番恥ずかしいところ……さっきのオナニーほどじゃないけど、もう濡れてるんだ", "speaker": "大地" }, { "utterance": "指先に、うっすらと湿り気を感じる。そしてショーツの裾からは蜜らしきものが太ももの方まで垂れて来ていた。", "speaker": "地の文" } ]
[ "空", "大地" ]
01_StellarTheater
A05_10h_converted.jsonl
[ { "utterance": "……ねえ、大地", "speaker": "空" }, { "utterance": "うん?何、空", "speaker": "大地" }, { "utterance": "今、わたしの前にいるのは、大地よね", "speaker": "空" }, { "utterance": "もちろん", "speaker": "大地" }, { "utterance": "わたし、大地のものになったのよね", "speaker": "空" }, { "utterance": "僕としては、空をもの扱いする気はないから、その言い方だとどうかとは思うけど、僕と空はこれからずっと一緒にいる。これは間違いないと思うよ\nでも、急にどうかした?", "speaker": "大地" }, { "utterance": "……わたしね、今すっごく幸せなの\nほんの一月前は、こんな幸せ考えたこともなかった。もう絶対に手に入らないはずだった\nその事に気がついたら、これって夢とかじゃないわよねって、ちょっと思っちゃって", "speaker": "空" }, { "utterance": "大丈夫。夢じゃないよ\n五年前、空が僕を救ってくれて、それから一生懸命に色々なことを頑張ってくれて掴み取った、正真正銘の現実だよ\n空は、幸せになっていいんだから。僕が、もっともっと幸せにするんだから", "speaker": "大地" }, { "utterance": "……うん。わたし、もっともっと幸せにしてもらう\nだから、大地も、もっともっと幸せになってね", "speaker": "空" }, { "utterance": "もちろん。さっきみたいなかわいい空を、これから何度でも見れるんだもん。幸せに決まってる", "speaker": "大地" }, { "utterance": "え、あ、も、もうっ!\n……うん。何度だって見せてあげる\n大地が、一緒にいてくれるなら……", "speaker": "空" } ]
[ "空", "大地" ]
01_StellarTheater
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[ { "utterance": "休み時間、どうにもアオについての考えがまとまらず、気分転換に教室を出てみた。\n情報がどうにも集まらない。多分、何か抜けてることがあるんだと思うんだけど、それが分からない。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "人なのか、動物なのか、場所なのか、組織なのか、その他の何かなのか……うーん、分からない……", "speaker": "大地" }, { "utterance": "窓から外を眺めてみれば、そこには青空が広がっていた。なんか皮肉っぽいなあ。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "だ~いちはっけ~ん♪", "speaker": "空" }, { "utterance": "うわっ、空?", "speaker": "大地" }, { "utterance": "背後からいきなり抱きつかれ、慌てて振り返れば、やっぱり空だった。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "せいか~い。抱きついた感触だけで分かるなんて、大地ったら本当にえっちなんだから\nでも、それくらいわたしの身体を覚えてくれたんだって考えれば、それくらい気にいってくれたんだってことなのかな。えへへ", "speaker": "空" }, { "utterance": "そりゃあもちろん。僕にとって、空以上のものは存在しないし", "speaker": "大地" }, { "utterance": "その前に響いた声のことはあえてスルーして、僕は素直に頷いた。事実、あの夜から空の温もりとか柔らかさとか声とかは、全然忘れられそうにないし。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "うん。わたしもね、大地以上のものなんて無いから。そもそも、生涯大地だけだし\nでも、こんな所でどうしたの?随分珍しい場所だけど", "speaker": "空" }, { "utterance": "いや、例の『アオ』についてちょっと考えてた。気分転換も兼ねてね\nどこを捜したらいいのかなあって……実際、それが何を意味するのかも分かってないし……", "speaker": "大地" }, { "utterance": "そうねえ……それじゃあ、わたしが決めてあげる", "speaker": "空" }, { "utterance": "空は少し思案するように天井を仰ぐと、", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "プール!", "speaker": "空" }, { "utterance": "と満開状態の笑顔で言った。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "……はい?", "speaker": "大地" }, { "utterance": "だから、プール♪", "speaker": "空" }, { "utterance": "空?", "speaker": "大地" }, { "utterance": "だって、アオって言ったら青い海、じゃない?やっぱり。海はないから、プールで代用", "speaker": "空" }, { "utterance": "あの、空さん。その理由付けはいかがなものかと……", "speaker": "大地" }, { "utterance": "さっきの、青空を皮肉だとか言ってた僕より酷いのでは……。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "でも、プールってあまり捜査に利用したりしてないし、意外に面白い情報とかあるかもよ\nそれに、もれなくわたしの水着付き", "speaker": "空" }, { "utterance": "よーし、プールいってきまーすっ!", "speaker": "大地" }, { "utterance": "僕は空の手を握ると、ダッシュで階段を飛び降りた。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "え?だ、大地!?ちょっとまだ授業残ってるのに!?", "speaker": "空" }, { "utterance": "残りの授業は全部体育になりました!", "speaker": "大地" }, { "utterance": "所により保健体育かもしれません。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "こ、こらあっ、さすがにそれはまずいってばあ!", "speaker": "空" }, { "utterance": "昔の人はいいことを言いました。\n思い立ったが吉日っ!", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "痛たたた……", "speaker": "大地" }, { "utterance": "まだ痛むの?まあ、見つかったのが陽夏さんだったていうのがまずかったわよね", "speaker": "空" }, { "utterance": "本気で学園からの脱出を謀ろうとした僕達は、あのあと見事に陽夏さんと正面衝突。そのまま捕縛され、脳天に素敵な一撃を食らい(注・僕だけ)教室へと連行された。\nまあ、あの時は空の水着姿に我を忘れて暴走したけど、考えてみれば当然なんだよね。\nというわけで、放課後になってから、改めて捜査という名目で来た次第です。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "やっぱり、プールっていえばデートの定番よね", "speaker": "空" }, { "utterance": "いきなりデートに変わってませんか空ちゃん!?", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "まあ、男としてここ以上に嬉しいデートスポットっていうのもそうないしね", "speaker": "大地" }, { "utterance": "大地、嬉しい?わたしの水着姿", "speaker": "空" }, { "utterance": "そりゃあもちろん。でも、混浴の温泉とかだったらもっと嬉しかったかな", "speaker": "大地" }, { "utterance": "ばか\n温泉は、本当に押し倒されちゃいそうだからパス", "speaker": "空" }, { "utterance": "それはちょっと心外かなあ。僕ってそんな節操ない男に見られてた?", "speaker": "大地" }, { "utterance": "あ……その、気を悪くさせちゃったなら、ごめんなさい。だ、だって……大地、えっちなんだもん……\n大地に触られるのは、その、別に嫌じゃないんだけど……優しいし……\nだけど、他の人に見られたくないもん……。大地にだったら、恥ずかしいけどいくらでもガマンする。だけど大地以外の人に見られたら死んじゃう", "speaker": "空" }, { "utterance": "あーもう、本当にかわいいなあ、空は。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "大丈夫だよ、空\n相手が空なら、温泉でなくたって、どこでも押し倒せるから、僕は", "speaker": "大地" }, { "utterance": "そ、そういう問題っ!?", "speaker": "空" }, { "utterance": "大丈夫。他の誰にも見せないから", "speaker": "大地" }, { "utterance": "うわぁ、笑顔が眩しい……", "speaker": "空" }, { "utterance": "でも、空と一緒に抱き合って、っていうのも魅力的なんだけどなあ", "speaker": "大地" }, { "utterance": "温かな湯船の中、ぎゅって抱き合いながら、生まれたままのお互いの柔らかさを感じ合う。それって、きっと凄いよね。\nうわ、なんか興奮してきちゃった。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "大地、鼻の下伸びてるー\nもう。大地、やっぱりえっち\n……お風呂に入りたいなら、家で一緒に入ればいいじゃない", "speaker": "空" }, { "utterance": "それだ!今度皐月の目を盗んでこっそり入ろう!", "speaker": "大地" }, { "utterance": "そうね。あの子のことだもん、もし見つかったら、きっと一緒に入ろうって言って乱入してくるわ", "speaker": "空" }, { "utterance": "え、そっち!?それ問題!?", "speaker": "大地" }, { "utterance": "……大問題じゃない", "speaker": "空" }, { "utterance": "いやあ、僕としては、それも別に有りかなあ、って……", "speaker": "大地" }, { "utterance": "あーもう。まったく、この兄にして、あの妹あり、なんだから", "speaker": "空" }, { "utterance": "衝撃の事実っ。皐月のあれは、僕のせいだったのか!?", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "でもまあ、とりあえず今は二人きりなのよね\n泳ご、大地", "speaker": "空" }, { "utterance": "プールにぴったりの、まるで真夏の太陽みたいな笑顔を浮かべて僕の手を引っ張る空。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "そうだね", "speaker": "大地" }, { "utterance": "僕はその手に引っ張られながら、空と一緒に水の中へと飛び込んでいった。\n…………。\n……。\n…。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "ふう……", "speaker": "大地" }, { "utterance": "僕はプールサイドに腰を下ろすと、一息ついた。さすが星座。それも十二星座候補生レベル。体力も並じゃない。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "ついていくのが一苦労だよね", "speaker": "大地" }, { "utterance": "そう言いつつも、悪い気はしなかった。\n子供の頃から空はこうだった。少なくとも、今僕の中にある記憶では、あんなやんちゃ少女だったはずだ。\nその時と変わらない、昔のままの空が目の前にいる。それだけでもう、僕は自然と笑顔になった。\n僕自身の本物の記憶はないけれど、空にもらったこの記憶が僕を支えてくれている。空のくれた記憶が、僕にこうして笑顔をくれる。\n空と一緒に、こうして笑っていられる。それはやっぱり、幸せなことだよね。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "だーいち♪", "speaker": "空" }, { "utterance": "不意に柔らかい感触が、僕を後ろから抱きしめてきた。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "こら、一人で何黄昏れてるのよ", "speaker": "空" }, { "utterance": "ごめんごめん。ちょっと疲れたから一休み", "speaker": "大地" }, { "utterance": "あ……ごめんなさい。わたしのペースに付き合わせちゃったら、疲れて当然よね。ちょっとはしゃぎ過ぎちゃった\nでも、疲れたなら言ってくれればいいのに。一緒に休も", "speaker": "空" }, { "utterance": "いやあ、この程度でこんな疲れるなんて、歳を感じるよね", "speaker": "大地" }, { "utterance": "そうね。特に精神年齢の方かしら", "speaker": "空" }, { "utterance": "あれ、おっかしいなあ。身体はともかく心はいつまでもぴっちぴち健康優良少年のつもりなんだけど", "speaker": "大地" }, { "utterance": "まったく逆だと思うわよ。だって、大地……あの時、身体の方凄かったもん……", "speaker": "空" }, { "utterance": "いや、あれはその、空が逆に凄すぎて、回復しまくっちゃってたのではないかと", "speaker": "大地" }, { "utterance": "も、もう。大地はすぐに恥ずかしい言い方するんだから……\nそれじゃあ、疲れた身体に回復薬あげちゃうわね\nえいっ", "speaker": "空" }, { "utterance": "僕を抱き締めているその腕に、より力を込める。背中に触れていた小さな膨らみが、思い切り押し付けられる形になって、かなり嬉しい。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "おおう、空の、思い切り当たってますよ?", "speaker": "大地" }, { "utterance": "ふふーん。当たってるんじゃなくて、甘えながら、当ててるの\nだって、悔しいけど肉体的特徴では他の子に勝てないもん、わたし。だったらその分頑張らないと、大地に目移りされちゃう\nおっぱいちっちゃいけど、これなら女の子に抱きしめられてる感じは一応楽しめるでしょ", "speaker": "空" }, { "utterance": "そう言って、いかにも小悪魔的な笑顔で笑う空はかなり凶悪だと思うんだけどどうでしょう。\n空の胸だって、小さいといっても、決して無いわけじゃあなくて。ふにふにとした気持いい弾力が、僕の背中から全身に広がっていく。\nああ、やっぱり、空の、いいなあ……。\nそう、改めて認識したところで、ふと反対側のプールサイドに座って休んでいる女の子の姿が目に入った。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "!?!?!?", "speaker": "大地" }, { "utterance": "で、でんじゃら~す……。\nな、なんだろう、あの子の胸っ。僕らよりちょっと年上くらいであのサイズ!?どういう生活したら、あんな育つんだ!?\nぷるん、と上向いた大ボリュームに、自然と視線が吸い寄せられる。\nな、なんていう存在感……。あれって、輝夜と同じくらい……?\nで、でもまあ、うん。可愛さでは空のが遙かに……。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "で、どこを見てるのよ……", "speaker": "空" }, { "utterance": "ぎくうっ", "speaker": "大地" }, { "utterance": "す、鋭い……。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "い、いや、空ほど可愛い子は他にいないなあって", "speaker": "大地" }, { "utterance": "む~……\nほんと、あの子、おっぱい凄いわよね。思わず見入っちゃうくらい", "speaker": "空" }, { "utterance": "ぎくぎくうっ!", "speaker": "大地" }, { "utterance": "や、やっぱり鋭いなあ、空。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "えっと、そのぉ……確かにちょっと気にはなってしまったというか、あれくらい特別サイズだと男なら誰でも気になってしまうと思うわけでして……\nけ、決して、あれがいいだとか、あれくらい欲しいだとか、そんなわけでは……", "speaker": "大地" }, { "utterance": "ね、ねえ、大地……", "speaker": "空" }, { "utterance": "必死に弁解しようとする僕に、空のちょっと悲しそうな声がかけられる。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "やっぱり、大地はおっきい方が好き?わたしだって、星座を辞めれば成長も再開するし、きっと……多分……その、約束はできないけど……\nで、でも、今よりはおっきくなると思う!大地がその方がいいっていうなら、すぐに星座辞める!やめて、一生懸命おっきくする!", "speaker": "空" }, { "utterance": "辞めないでいいよ", "speaker": "大地" }, { "utterance": "僕は言葉にすることすらもどかしく、即答した。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "即答なんかして、ちゃんと考えてくれてる?", "speaker": "空" }, { "utterance": "もちろん。僕は空が好きなんだよ。無理をしてない、あるがままの空が。その空が星座としての今を選んでるなら、僕もその空がいい", "speaker": "大地" }, { "utterance": "空が今の体格なのはちゃんと理由があるし。そもそもそれだって僕を助けようとしてのもの。それを受け入れられないはずがない。\n……それに正直、空は今のままの方が可愛いなあ、なんて思ってもいたりします。というか、成長した空が想像できません……。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "大地……\nうん。わたし、今のままでいるね。大地が望んでくれるかぎり、ずっと\nそれに、成長が止まるっていうことは歳もとらないっていうことだし……いつか、おじいちゃんになった大地の隣に、今の姿のままのわたしがいる。これって素敵かもね\n孫じゃありません、妻です、って。みんな驚くわよね。あ、そういうのもロリコンっていうのかな", "speaker": "空" }, { "utterance": "同じ歳だよ。もし言われたら堂々と胸張って言えるね\nそうです、ロリコンです!って", "speaker": "大地" }, { "utterance": "そっち言ってどうするのよ……", "speaker": "空" }, { "utterance": "いやあ、そう言われても構わない、という初心表明で", "speaker": "大地" }, { "utterance": "まったくもう……\nほんと、とことん大地なんだから♪", "speaker": "空" }, { "utterance": "そう言って笑ってくれる空が眩しくて、それだけで今日の僕は満足だった。\n陽も傾き、世界の色がすっかり変わり果てた頃、僕達はようやく帰る準備を始めた。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "うん、遊んだ遊んだー", "speaker": "空" }, { "utterance": "うん、堪能した堪能したー\n時々はこうして気分転換も必要だね。頭の中がちょっとスッキリした気がする", "speaker": "大地" }, { "utterance": "でしょ。まあ、わたしが言うのもなんだけど、一つのことに集中しすぎると、かえって分からなくなっちゃうもの", "speaker": "空" }, { "utterance": "空は、そのためにわざと誘ってくれたわけだ", "speaker": "大地" }, { "utterance": "まあね。大地は広く考えすぎなのよ。アオが何を意味する言葉か、そこで迷っちゃってるでしょ。だから、何を捜していいのか分からない\nまずは、そこから絞ってみない?アオが何を意味するのか。今までの黒猫の言葉から、大地はなんだって思ってるのか\n捜すものが決まってないのに、見つかるはずないもの", "speaker": "空" }, { "utterance": "確かに。捜すにしたって、捜し物が何か分からないんじゃ見つけられるはずがない。\nそれがずれててもいいから、まずは何を捜すか決めないと。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "改めて考えてみれば、ソラの目的はアオの世界を広げるために、記憶を集めることなわけだから、アオっていうのはやっぱり人の名前だと思う\nうん。ここはやっぱり、人の名前として絞ってみよう", "speaker": "大地" }, { "utterance": "それでいいと思うわ。だめだったら、また別のものに絞ればいいんだもん", "speaker": "空" }, { "utterance": "なんだろう。何かが分かったわけでもないし、情報が手に入ったっていうわけでもないのに、妙にスッキリした気分だ。\nうん。空の水着も堪能できたし、今日は実にいい日だ。", "speaker": "地の文" } ]
[ "空", "大地" ]
01_StellarTheater
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[ { "utterance": "窓から差し込む光はすっかり傾き、教室はいつしか茜色に染まっていた。\n部室の方にいかないといけないことは分かっていたけれど、それでもなぜか行かなかった。誰もいなくなった教室で、僕は一人でこの風景を眺め続けてる。\nいや、行かない理由は分かってた。\nこれから僕がしようとしてること。それは間違いなく、みんなの目指すものと違う。むしろみんなの邪魔になる。\nそんな僕が、みんなの中にいてはいけない気がしたから。少なくとも、今日一日は。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "大地。ここにいたんだ", "speaker": "空" }, { "utterance": "不意に扉が開き、空が姿を見せる。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "空?あれ、部室の方は……って、もしかして陽夏さんから捜し出せ命令が!?", "speaker": "大地" }, { "utterance": "慌てる僕に、空はクスと笑う。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "大丈夫よ。ちょっと調べ物があるみたい、ってごまかしておいたから\n他のみんなは、いつも通りにソラのこと捜しに行ったわ", "speaker": "空" }, { "utterance": "……空は、なんでここに?", "speaker": "大地" }, { "utterance": "うーん、なんでかしら。ただ、なんとな~く、ここなら大地がいそうな気がするなって", "speaker": "空" }, { "utterance": "やっぱりいたし、と笑う空。その笑顔が、今の僕にはなんだかとってもありがたかった。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "大地こそ、なんでここに?部室にも出ないで", "speaker": "空" }, { "utterance": "いや、その……まあ、いろいろと……", "speaker": "大地" }, { "utterance": "どう答えていいか分からない僕を、空はジッと見つめていた。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "……大地", "speaker": "空" }, { "utterance": "ん?何", "speaker": "大地" }, { "utterance": "えっち、しようか", "speaker": "空" }, { "utterance": "唐突な空の言葉に、僕は思わずその意味を考え直す。えっち。アルファベットの一つ……なんて使い方をここでしても意味ないわけで。\n空が僕に言うその単語の意味なんて、一つしかない。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "こ、ここで……?", "speaker": "大地" }, { "utterance": "うん。ここで", "speaker": "空" }, { "utterance": "にっこりと笑顔で言い切る空。けれどその顔は、この教室の中でも分かるくらいに真っ赤だ。その一言を言うのに、どれだけ恥ずかしいのを我慢してくれてるんだろう。\nそこにどんな想いがあるのかは分からないけど、空の想いを僕は絶対に拒絶しない。\n空が、それを望んでくれるなら。僕にそれを断る理由なんてない。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "うん。僕も空とえっちしたいな……ここで", "speaker": "大地" }, { "utterance": "それじゃあ……しちゃおう……", "speaker": "空" }, { "utterance": "そう言って、僕らはまず唇を重ねた。軽く触れ合わせるだけのキス。\nそれはまるで、これから行うことの儀式みたいだった。", "speaker": "地の文" } ]
[ "空", "大地" ]
01_StellarTheater
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[ { "utterance": "こ、こうでいい、の……?", "speaker": "空" }, { "utterance": "うん。それでお願い", "speaker": "大地" }, { "utterance": "机の上に空を座らせ、ベストのボタンをとタイを外す。小さな空の身体は、それでやっと僕と同じくらいの高さだった。\n足の間から覗けるピンクの下着が、その下にあるものを想像させてドキドキする。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "わ、わたしから言い出したことだけど……やっぱり、ドキドキするね。こんな場所でのえっちなんて……", "speaker": "空" }, { "utterance": "誰か通らないか気になって仕方ないのか、空はキョロキョロと廊下の方へ視線を送る。\n時間的に部活動以外の生徒は殆ど帰っただろうし、部活動の方は今が旬。教室の方まで上がってくることはまずないはず。\nだけど、それでもやっぱり気にはなっちゃう。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "うん。もし誰か来ちゃったら、空の裸をその人に見せることになっちゃうし", "speaker": "大地" }, { "utterance": "え、そこなの?", "speaker": "空" }, { "utterance": "もちろん。空の裸を他の男に見せるなんて絶対にやだし", "speaker": "大地" }, { "utterance": "ここ以上に大事なことなんてありません。空の身体はあくまで僕だけのものですから。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "もう。こんな時でも、大地は本当に大地なんだから", "speaker": "空" }, { "utterance": "当然。だって、空が好きになってくれたのは、こういう僕なんだから。僕は常にそれに応えるよ", "speaker": "大地" }, { "utterance": "うん。応えて。わたしも、そんな大地にだから、全部捧げられる……", "speaker": "空" }, { "utterance": "恥ずかしそうに言いながらも、身体から力を抜いて僕へと捧げてくれる。\nまた空の身体を見られる。そう考えるだけで震えてしまう指先を、空のシャツへと僕は伸ばした。\nボタンを全部外され、大きく開かれるシャツ。その下から、ショーツとお揃いの可愛らしい空のブラが現われた。\nそのわずかな膨らみと相まって、僕の本能を刺激する。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "その、こ、子供っぽく、ない……?", "speaker": "空" }, { "utterance": "全然。空に似合っててかわいいよ", "speaker": "大地" }, { "utterance": "むしろ、子供っぽくっても構わない。この下着を着けているのが空で、この体が空のものだっていうことが、今は一番大事なんだから。\n僕はブラの上から、その緩やかな胸を、できるだけ優しく揉みしだく。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "あ……", "speaker": "空" }, { "utterance": "ふに、っとした柔らかさに、僕の手が沈み込んだ。同時に、空の唇から可愛らしい声がこぼれ出る。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "空の胸、柔らかい……", "speaker": "大地" }, { "utterance": "うん……ちっちゃくて、ごめんね……", "speaker": "空" }, { "utterance": "全然問題ないよ。僕にとって大事なのは、これが空の胸だっていうことだけだし", "speaker": "大地" }, { "utterance": "あ……ん、んぁ……", "speaker": "空" }, { "utterance": "ゆっくりと動く僕の手のひらに、空が小さく喘いだ。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "大地の手……気持いい……", "speaker": "空" }, { "utterance": "気持ちよさげなその声に、僕ももっと空の身体をいじりたくなる。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "こっちも、いい?", "speaker": "大地" }, { "utterance": "僕は空いている右手を、そっと空の左膝に載せる。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "え……う、うん……", "speaker": "空" }, { "utterance": "その意味をちゃんと悟ってくれたのか、空は顔を赤らめながらコクンと頷いた。\nそれを確認してから、僕は空の両足を大きく左右に開かせる。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "わ、わたし、凄い格好だよね……全部、見えちゃう……", "speaker": "空" }, { "utterance": "空自身を覆い隠すピンクの下着。初めて抱いた時に見た空の秘裂とその感触を思い出し、そこに触れたくてたまらなくなる。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "うん。空の全部見たかったから。やっぱり、恥ずかしい?", "speaker": "大地" }, { "utterance": "もちろんよ……だけど、大地にだから、ガマンする……大地になら、見られても平気……", "speaker": "空" }, { "utterance": "ジッとそこを見つめている僕の視線に必死に耐えて、足を開き続ける空。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "で、でも、やっぱり恥ずかしいよぉ……", "speaker": "空" }, { "utterance": "その身体が、恥ずかしさに小さく震えているのが分かる。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "そうやって必死に堪えて見せてくれる空、かわいいなあ", "speaker": "大地" }, { "utterance": "これ以上は本当にガマンできない。僕はショーツの上から、その小さな割れ目に、そっと指を這わせた。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "きゃうっ", "speaker": "空" }, { "utterance": "可愛らしい声と共に空の身体がびくんと大きく跳ねる。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "やっぱり、こっちに触るの、緊張するね。空の、一番大事なところ", "speaker": "大地" }, { "utterance": "うん……大地だけの場所、よ", "speaker": "空" }, { "utterance": "そんな空の言葉が自然と僕を昂ぶらせる。僕は秘裂をなぞっている指に、少し力をこめた。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "は、あ……うう、んっ……", "speaker": "空" }, { "utterance": "懸命に抑えようとしている甘い響きが、教室内に響く。\n空のそこは、ショーツの上からでも分かるくらいに熱く昂ぶり、身体を上気させていった。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "う……あ、あふ……ん、んうっ", "speaker": "空" }, { "utterance": "声、隠さないでも平気だよ", "speaker": "大地" }, { "utterance": "だ、だって、ここ学園で……ふあ、ああっ……こ、声聞かれたら……人、来ちゃう……っ", "speaker": "空" }, { "utterance": "それでももう、感じているのは隠し切れていない。ショーツの方もうっすらと濡れており、僕の指を湿らせる。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "残ってる人なんてもうほとんどいないし、いてもみんな部活中だよ", "speaker": "大地" }, { "utterance": "それは分かって、んくぅ……るんだ、けど……や、あ、大地の、指、入って……", "speaker": "空" }, { "utterance": "もっともっと空に感じてほしくって、僕は割れ目の間に指を埋めた。空は背筋を反らせながら、僕の愛撫を耐える。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "僕は、もっと空のかわいい声聞きたいんだけど……", "speaker": "大地" }, { "utterance": "で、でも、恥ずかし……", "speaker": "空" }, { "utterance": "それでも、吐息は確実に甘く湿り始めていた。あと一歩を求めて、僕は空の胸に手を伸ばす。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "あ……", "speaker": "空" }, { "utterance": "夕方の、少し涼しげな空気に晒される空の胸。小さな膨らみの中心は、固くピンと尖っていた。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "空の、ツン、て尖ってる……", "speaker": "大地" }, { "utterance": "だ、だって……大地に触られてるんだもん……感じないはず、ない……", "speaker": "空" }, { "utterance": "乳首が立ってしまっていることを知られたことが余程恥ずかしいのか、空は僕から視線を逸らしながら言った。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "僕も、もっと空に感じてほしい……", "speaker": "大地" }, { "utterance": "だけど、そんな空の態度が余計に可愛い。割れ目の中を愛撫しながら、空いている手で胸を揉む。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "きゃうっ", "speaker": "空" }, { "utterance": "吸い付くようなしっとりとし肌に、むにっと返ってくる質感。その柔らかさを味わいながら、中心にある突起をきゅっとつまむ。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "や、あ、つまむのだめぇ……か、感じ過ぎちゃって……ひ、あ、ああんっ", "speaker": "空" }, { "utterance": "びくん、と背中を弓なりにそらせて、空は大きく喘いだ。\nそのまま指でこりこりといじると、秘裂の奥から溢れる蜜がその量を増す。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "だ、だめぇ……こ、こりこりってきて……あ、あふ……こ、声、出ちゃ……っ", "speaker": "空" }, { "utterance": "ぬるっとした液体が、ショーツに染みを作り、そのまま僕の指にまで絡みついた。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "あ、あう、ん、んく……ふあんっ!\nや、やぁ……で、電気、びりびり、って……んく!あ、あふ……んうっ", "speaker": "空" }, { "utterance": "胸と秘裂、その両方を同時に責められて、空ももう耐えきれなくなっていた。甘い泣き声を響かせて、その身体を震わせる。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "……凄いよ、空のここ、急に濡れてきて……", "speaker": "大地" }, { "utterance": "奥からこぼれる蜜は更に量を増していく。それは一枚の布じゃあ抑えきれずに、机の上にまでうっすらと垂れ始めていた。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "え、あ、やあっ", "speaker": "空" }, { "utterance": "空は、そんな自分の姿にたまりかねたのか、再び足を閉じてしまう。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "あうぅ……やっぱり、恥ずかしい……", "speaker": "空" }, { "utterance": "空の、見ちゃだめ?", "speaker": "大地" }, { "utterance": "僕としては、もっともっと空の恥ずかしい姿を見たい。優しく尋ねかける僕に、空は真っ赤になって上目遣いで答える。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "だ、だって……あんな染み、出来ちゃって……はしたないし……", "speaker": "空" }, { "utterance": "感じてくれてる証だと思うんだけどな", "speaker": "大地" }, { "utterance": "僕に感じて、気持ちよくなってくれている証拠。それをはしたないなんて思うはずもない。\nそもそも僕は、空のもっともっとはしたない姿を見せてほしいわけだし。\nあえて愛撫をやめ、その大きな瞳をジッと見つめる僕に、空の顔が更に朱を増す。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "う、うん……ごめんね……もう、一度見られちゃってるのに……で、でも恥ずかしくて……", "speaker": "空" }, { "utterance": "そして、絞り出すようにして、その先を言葉にした。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "あ、あの……頑張ってガマンするから……ぬ、脱がせて……くれる……?", "speaker": "空" }, { "utterance": "この状況で脱がすものなんて、それは一枚しかない。決まってる。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "脱がすって……い、いいの……?", "speaker": "大地" }, { "utterance": "そこは空の最後の砦。それを自ら求める空にあえて確認すると、空は何も言わずに、ただ頷いた。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "それじゃあ……", "speaker": "大地" }, { "utterance": "閉じられたままの空の足。僕はスカートの奥へと両手を差し入れると、その裾にしっかりと指をかけた。\nそしてゆっくりと、ピンク色のそれを引っ張り出す。\n濡れて数本の糸を引きながら脱がされた空のショーツ。閉じられた足の向こうに、空の入り口がある。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "こ、これでもう、隠せるものない、から……", "speaker": "空" }, { "utterance": "覚悟したから、とばかりに僕を見つめる空。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "うん。足、開くよ……?", "speaker": "大地" }, { "utterance": "その瞳を受け止めながら、目の前の細い足に、僕は手をかけた。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "お、お願い、します……", "speaker": "空" }, { "utterance": "羞恥に満ちた空の声。それにより昂ぶる自分を感じながら、僕は空の一番いやらしい場所を目の前にさらけ出させた。\nまったく陰りのない、生まれたままの空の秘裂。ぴっちりと閉じ合わさったその奥からは、透明な蜜が垂れている。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "空の、やっぱり綺麗だ", "speaker": "大地" }, { "utterance": "一度僕に引き裂かれたとはいえ、そこは少しもくすんでいない。まるで始めての時と変わらないその割れ目に、僕はそっと両手をかける。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "中、見るね……", "speaker": "大地" }, { "utterance": "あうう……やっぱり恥ずかしいよぉ……", "speaker": "空" }, { "utterance": "ぎゅっと両目を閉じて、今にも泣きそうな声で言う空。だけど僕の行為を邪魔することもなく、黙ってそこを差し出してくれている。\n僕は空の奥をこの目に焼き付けるようと、縦筋を左右に開いていった。\n蜜に濡れきった桃色の皮肉が、その顔を覗かせる。その柔らかそうな秘肉に沿って視線を降下させると、空の女の子としての入り口が見える。\n僕によって、痛々しくも純潔を引き裂かれた、その入り口が。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "あ、あれ?空のここ……", "speaker": "大地" }, { "utterance": "だけどそこを見て、僕は疑問を声に出していた。\nあの日、空のここを綺麗にした時、間違いなく裂けて広がっていたのを覚えている。その痛々しい絵に、より空を愛しく感じた。\nだけど、今のこの場所は……", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "初めての時と……", "speaker": "大地" }, { "utterance": "あう、やっぱり気付いちゃったか……", "speaker": "空" }, { "utterance": "そんな僕の反応に、申し訳なさそうに呟く空。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "それじゃあ、やっぱり……?", "speaker": "大地" }, { "utterance": "う、うん。星座の回復力で、治っちゃってる……", "speaker": "空" }, { "utterance": "言われて、僕はやっと気付いた。星座は、その力に目ざめた時点で成長が止まり、あらゆる傷を、その時点に戻そうと回復させる。\n僕が引き裂いたあの傷も、星座としての回復力が……?\n改めて、その入り口をジッと見る。そこは前回同様、小指すら入らなさそうに狭く小さい。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "……凄いちっちゃいままだ……これって、毎回空が痛い思いしなくちゃいけないってこと?", "speaker": "大地" }, { "utterance": "ごめんね……やっぱり、毎回痛がられるのとか、めんどくさいよね……", "speaker": "空" }, { "utterance": "僕としては、空が辛い思いをするのがイヤで言ったつもりだったんだけれど、空は、それでも僕のことを考えてくれていた。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "だ、だけど、どれくらい痛いのかはもう分かったし、頑張ってガマンするから", "speaker": "空" }, { "utterance": "そんな空の気持ちがただ嬉しい。だからこそ、より空を大事に扱いたい。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "いや、男からすれば好きな子を抱くのにめんどくさいも何もないよ。凄い気持ちいいし\nただ、その度に空に辛い思いさせるのが……", "speaker": "大地" }, { "utterance": "ううん。わたしは本当に大丈夫だから", "speaker": "空" }, { "utterance": "本心だと分かる声で、そう言う空。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "初めての時だって、痛かったけど嬉しかった。大地がわたしの中に入って来てくれてる証だって思ったら、全然辛くなかった\nだから、お願い。わたしのことは気にしなくていいから……その、ちょっとは痛がっちゃうかもしれないけど……\nそれでもね、わたしは本当に嬉しいから、気にしないで大地が気持ちよくなって\nわたしだってね、大地に愛されてるんだって想いで、ちゃんと気持ちよくなれるから", "speaker": "空" }, { "utterance": "空の、僕と一緒に気持ちよくなりたいっていう想いが凄く伝わってくる。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "それに……大地も男の子だもん。したい、よね……?", "speaker": "空" }, { "utterance": "そ、それはもちろん……", "speaker": "大地" }, { "utterance": "わたしも、大地としたいよ\nだから、しよ", "speaker": "空" }, { "utterance": "空も、僕に抱かれたがってる。\nどこまでも澄んだ笑顔でのその言葉に、僕も空が本当に望んでくれているのを感じる。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "……うん、分かった", "speaker": "大地" }, { "utterance": "だから、空に喜んでもらうためにも、気にするのをやめる。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "ま、まあ本音を言えば、空のこんな姿見ておきながらガマンなんて無理です", "speaker": "大地" }, { "utterance": "そう言いながら、僕は改めて空の秘所へと視線を送る。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "……も、もう。やっぱり大地えっち……", "speaker": "空" }, { "utterance": "うわ……もうこんなに……", "speaker": "大地" }, { "utterance": "中から溢れてくる蜜を舐められそうなくらいに顔を近づけて見させてもらう。\nいやらしくも綺麗な柔肉が、てらてらと輝くように濡れていた。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "お願い……あ、あんまり近くでは……", "speaker": "空" }, { "utterance": "ごめん……でも、やっぱり綺麗だ……", "speaker": "大地" }, { "utterance": "覚悟はできても、その羞恥がなくなるわけじゃない。僕の息すら感じられる距離で、その中までじっくりと見られて、空もか細い声を上げる。\nだけど、やっぱり無理だ。こんなに綺麗な空、もっともっと見たい。\n僕はこの距離で、空の柔肉をそっと撫でた。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "ひあんっ!", "speaker": "空" }, { "utterance": "空の、こんな熱くなってる……", "speaker": "大地" }, { "utterance": "火照りきったその中で指を動かす。秘裂に沿って上下に動くその指に、中からどんどんと蜜が溢れる。\n押さえていた布も失った今、それは机の上へとポタポタ垂れていった。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "や、あっ……大地の指……あ、熱くて……ひっ、んあぁっ!\nあ、はぁっ……ん、ああ……う、んあぁ……!\nす、凄い、よぉ……さっきから、ぞくぞく、ってきて……あ、んうぅっ", "speaker": "空" }, { "utterance": "空の体内の柔らかさが、直接指に感じられる。次第に白みを帯びていく蜜が指を濡らし、ぐちゅぐちゅと音を立て始めていた。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "空の、どんどん溢れてくるよ……もう指がぬるぬるで……", "speaker": "大地" }, { "utterance": "その熱さと柔らかさに、僕は夢中になって空を愛撫し続ける。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "ね、ねえ、大地のって、どうなってるの……?", "speaker": "空" }, { "utterance": "え?", "speaker": "大地" }, { "utterance": "不意に言われた空の発言に、思わず僕の手が止まった。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "わ、わたしばかり見られるの……ずるい、よね……\nわたしも、大地に、したい……", "speaker": "空" }, { "utterance": "恥じらいながらも向けられた空の視線は、僕の下半身へと向けられている。\n僕も当然してもらえるならして欲しいとは思っていた。だけどこれは嫌がる女の子も多いって聞いてたし、僕からは言い出せなかった。\nでも、空がしたいって言ってくれるなら……。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "うわぁ……こ、こんなにカチカチ……", "speaker": "空" }, { "utterance": "空は、イスに座った僕の目の前にしゃがみ込むと、ズボンのチャックを下ろしてそれを取りだした。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "う、うん。空の身体で、こんなになっちゃいました……", "speaker": "大地" }, { "utterance": "空の身体を存分に味わっていた僕自身は、僕も驚くくらいに大きく、固く屹立している。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "初めての時に見てたけど、で、でも、やっぱり凄い……", "speaker": "空" }, { "utterance": "そんな僕のモノを恐る恐る手でいじりながら、空は好奇心いっぱいに観察していた。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "男の子って、こんな大きいんだ……い、痛いはずよね……", "speaker": "空" }, { "utterance": "自分の身体を貫かれた時のことを思い出しているのか、空の表情が少し歪む。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "いや、普段はそんな風にはなってないんですけどね……", "speaker": "大地" }, { "utterance": "一人でする時ですら、ここまでになったことはありません。やっぱり、空のせいだと思います。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "で、でも、こんなになって、大地は痛くない、の?", "speaker": "空" }, { "utterance": "腫れ上がってるようにでも見えるのか、本気で心配してくれる空に苦笑してしまう。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "別に痛くはないけど……その、暴発とかはしちゃうかもなあって……", "speaker": "大地" }, { "utterance": "あ、本当だ……先っぽから、透明なの出てる……", "speaker": "空" }, { "utterance": "空は僕をジロジロと様々な方向から眺めると、先端からこぼれているそれに、感心したような声を出した。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "いや、そう説明されてしまうと……", "speaker": "大地" }, { "utterance": "そ、それじゃあ……", "speaker": "空" }, { "utterance": "そして苦笑する僕を尻目に、恐る恐る僕の先端を舌先で舐める。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "ぴちゃ", "speaker": "空" }, { "utterance": "うあっ", "speaker": "大地" }, { "utterance": "ぞくり、とした快感に背筋が伸びる。そんな僕を見て自分が失敗したと思ったのか、空は慌てて舌先を離した。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "あ、ご、ごめんなさいっ。痛かったりした?", "speaker": "空" }, { "utterance": "い、いや、痛いとかじゃなくて、凄く気持ちよかった\nできれば、もっと……", "speaker": "大地" }, { "utterance": "たったあれだけなのに、あそこまで大きな快感が突き抜けた。さっきの調子で続けてもらったら、いったいどれだけの快感を味わうことができるんだろう。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "う、うん……", "speaker": "空" }, { "utterance": "空は僕の要望を聞くと、再び恐る恐る舌先を伸ばした。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "ぴちゃぴちゃ", "speaker": "空" }, { "utterance": "そして、ガチガチになっている僕の先端をそっと舐めていく。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "ぴちゃぴちゃぴちゃ", "speaker": "空" }, { "utterance": "空の舌の動きは拙いけれど、だからこそ頑張ってくれているのが伝わってきた。その一舐めごとに、電流みたいな刺激が脳髄へと走って行く。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "ど、どう……?初めてだから、強さとか分からなくて……", "speaker": "空" }, { "utterance": "う、うん。凄く、いい……", "speaker": "大地" }, { "utterance": "痺れるような快感に、少しずつ何かがこみ上げてくるのが分かる。僕はそれを堪えながら、空の舌による愛撫を味わう。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "よかった……", "speaker": "空" }, { "utterance": "空も、そんな僕の返答にホッとしたのか、チロチロと、舐める範囲を少し広げていく。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "ぴちゃぴちゃ\nこ、この窪んでるとことか、かな……?\nぴちゃぴちゃ", "speaker": "空" }, { "utterance": "うあぁ……で、電気みたいなの走った……", "speaker": "大地" }, { "utterance": "びくん、と思わず反応してしまう僕に、空が嬉しそうに笑みを浮かべる。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "えへ……大地の感じてくれてる顔、かわいい\nそ、それじゃあ……もうちょっと……", "speaker": "空" }, { "utterance": "そして、大事そうに僕のものを掴むと、", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "んむっ", "speaker": "空" }, { "utterance": "その小さな口に、含んだ。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "くっ……", "speaker": "大地" }, { "utterance": "空の熱い吐息が僕を包み込み、唾液に塗れた舌が敏感な部分を刺激する。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "ん、う……だ、大地の、おっきい……ん\nん……んむ……んっ……", "speaker": "空" }, { "utterance": "僕を咥えながら、ゆっくりと前後に動き始める空。慣れていないせいか時々苦しそうな顔も見せるものの、一生懸命に僕を刺激し続ける。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "んっ、んあ、はあっ、んくっ……んうっ\nんむ、はあっ、はあっ……ん、んあっ\nんうっ……はぁ……はぁ……ど、どう?……んうっ……ん……くっ!", "speaker": "空" }, { "utterance": "空の舌使いに、ゾクゾクとした快感が僕を包み、今にも吐き出してしまいそうな欲望が下腹部へと集まってくる。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "う、うん。凄く、いい……で、でも、もう……", "speaker": "大地" }, { "utterance": "少しでも気を抜けば、このまま解き放ってしまいそうだ。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "ん……んむ……い、いいよ、んぁ……ん……このまま……はあっ……はあっ……ふぁ……ん、んくっ", "speaker": "空" }, { "utterance": "口内の粘膜が僕の先端を擦り上げ、舌が起伏部を刺激する。湧き上がる快感は僕の意識を麻痺させ、その欲望を次々に集めていく。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "ん、はあっ、はむっ……んく、んうっ", "speaker": "空" }, { "utterance": "こみ上げてくる射精感。半ば麻痺した意識の中で必死に堪えるものの、それを空の懸命な舌使いが霧散させていく。\nまるで絞りきられた弓のように、僕の中で溢れかえる白い欲望。限界にまで達した射精感に、身体が震える。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "んっ、んあ……い、いつでも、んん、んう!……はあっ……はあっ!", "speaker": "空" }, { "utterance": "甘い嬌声と一緒にこぼれる空の吐息。その熱い刺激に、僕の中で何かが弾けた。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "ご……ごめん、い、いくっ", "speaker": "大地" }, { "utterance": "そしてそのまま、空の口へと放出する。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "んっ!んうぅっ!", "speaker": "空" }, { "utterance": "どくん、どくん、と何度も何度も放たれる欲望に、空が苦しそうに顔を歪める。\n僕自身驚くくらいの量が、空の口の中で発射されていた。空の小さな口では受け止めきれず、その隙間からもこぼれていく。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "んっ、んく……ううううっ!\nん……んく……ん……んん!", "speaker": "空" }, { "utterance": "それでも空はできるかぎりを必死に受け止め、そして最後に、どうにか飲み込んだ。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "はぁ……はぁ……えへ、苦いね、これ", "speaker": "空" }, { "utterance": "苦しげに、だけど笑いながら言う空。その口元に、溢れた白いものがついている。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "それに、こんなにいっぱい。ごめんね、たくさんこぼしちゃった……\n大地、初めての時もだけど、すっごくたくさん出すんだもん", "speaker": "空" }, { "utterance": "かなり苦しかっただろうに、それでも僕のことを考えて笑ってくれる空に、ただ嬉しさがこみ上げてくる。\n同時に、また自分が昂ぶっていくのが分かった。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "はぁ……はぁ……うん、ごめん。口でしてもらうのが、こんな凄いなんて思ってなかった……", "speaker": "大地" }, { "utterance": "うん。大地を感じさせちゃった。すっごく満足", "speaker": "空" }, { "utterance": "空は嬉しそうに言って、そしてまた僕自身をそっと触った。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "で、でも、凄いな。これ、カチカチのまま……", "speaker": "空" }, { "utterance": "出したばかりなのにも関わらず、それはもう最初の固さと大きさを取り戻している。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "やっぱり、中に入りたい、のかな……", "speaker": "空" }, { "utterance": "それはその、当然入りたくて堪らないわけだけど……空、まだこの前から日が浅いし、また今度でも……", "speaker": "大地" }, { "utterance": "今もあれだけ苦しい思いをして僕を気持ちよくさせてくれたんだ。そこまで無理をさせたくない。\nだけど空は、小さくかぶりを振るとニコッと笑って顔を上げた。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "ううん。わたしがね、今日、ここでしたいの\n大地に、されたいの", "speaker": "空" }, { "utterance": "僕を気遣っているだけでなく、本心からだって分かる空の言葉。そんな空を、僕も抱きしめたくてたまらない。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "だから、お願い……", "speaker": "空" }, { "utterance": "僕は迷うことなく、頷いていた。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "こ、この体勢、ちょっと恐い、ね。大地の顔見れないの……", "speaker": "空" }, { "utterance": "床に這いつくばるように横になった空。その足は大きく開かれ、中心を惜しげもなく僕に見せつけている。\n僕はその足をしっかりと支えながら、空の入り口へと自分自身をあてがっていた。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "やっぱり、普通の体勢の方が……", "speaker": "大地" }, { "utterance": "後ろからの体勢に不安を覚える空にそう提案するものの、空は少し力のない笑みを浮かべてそれを断った。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "う、ううん、大丈夫。大地、優しいから、わたしの顔見ちゃうと多分本気でできないでしょ\n今度は、もっと気持ちよくなってほしいし", "speaker": "空" }, { "utterance": "それがやっぱり僕のことを思ってなのが嬉しい。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "だから、思いっきりきて、大地。大丈夫、二度目だもん", "speaker": "空" }, { "utterance": "確かに二度目ではあるけれど、空の身体は初めての時と変わらない。痛みも同じだけあるはず。\nだけど空の顔には、痛みに対する不安はなかった。ただ素直に僕を求めて、僕を喜ばせたがっている。\n本当に空は、健気に尽くすタイプなんだなあ。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "分かった。それじゃあ、いくよ", "speaker": "大地" }, { "utterance": "ここで遠慮をしても意味がない。僕自身が空を気持ちよくして喜ばせるために、僕は空の中へと自分を埋めていく。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "うぁ……き、きつっ……", "speaker": "大地" }, { "utterance": "前回とまったく同じ、ギチギチと痛いくらいの締め付けが僕を押し返そうとする。僕はそんな反発に負けまいと、腰に力を入れていった。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "い、痛っ……あ、あうっ!", "speaker": "空" }, { "utterance": "その瞳に涙を浮かべて、懸命に堪えようとしている空。結合部からこぼれる赤いものが痛々しい。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "やっぱり辛い……?", "speaker": "大地" }, { "utterance": "だ、大丈夫……だから……今度は、これくらい痛いって分かって、たし……", "speaker": "空" }, { "utterance": "歯を食いしばり、僕を受け入れ続ける空。ぶつぶつと何かを引きはがすような感覚と共に、僕自身が少しずつ空の小さな身体に飲み込まれていく。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "ほ、本当にね、大丈夫だから。い、一気に、んくっ、きて……!", "speaker": "空" }, { "utterance": "これ以上ゆっくり進んでも、苦痛を長引かせるだけかもしれない。僕は空に頷くと、一気に腰を押し出した。\nぶつんっ、と何かを勢いよく引き裂いて、一気に空の中へと沈み込む。\nきゅうきゅうと僕を締め上げてくる狭い秘洞の中、僕は空の二度目の純潔を奪い取った。\nやっぱり前回同様半分ほどしか入らないけれど、それでも熱い空の体内は存分に味わえる。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "大丈夫、空?", "speaker": "大地" }, { "utterance": "その手を握りしめて痛みを堪えている空に、そっと声をかける。空は涙を浮かべながら、僕に頷いてくれた。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "だ、だから、平気。きて……大地", "speaker": "空" }, { "utterance": "痛みを堪えつつも、僕を求めてくれる空。そんな空に応えて、少しでも気持ちよくしてあげたい。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "……うん、分かった。でも、だったら……", "speaker": "大地" }, { "utterance": "僕は割れ目の頂点にある、小さな突起に、包皮の上からそっと触れた。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "きゃあんっ", "speaker": "空" }, { "utterance": "身体の中で、最も敏感な部分を刺激され、空が背中を仰け反らせる。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "こうやって、感じながらなら、少し楽になるよね", "speaker": "大地" }, { "utterance": "できるだけ優しく、ゆっくりと撫でる。その動きに合わせるように、空は身体を震わせ、甘く喘いだ。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "や、やあ、そこ、敏感、で……あ、ああっ\nはぅ、ん……ふぁ、ああん、うぁ……ああっ", "speaker": "空" }, { "utterance": "そしてその刺激に多少慣れた頃を狙って、その小さな豆を包む皮をめくり上げる。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "うわ……ここってこんなになっちゃうんだ……凄い、ぷっくり膨れて……", "speaker": "大地" }, { "utterance": "そすでに充血し膨れたそれを、空の蜜に濡れた指で直接撫でる。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "や、やあっ!そこは!うくっ、んあぁ……きゃうっ!", "speaker": "空" }, { "utterance": "空の喘ぎと共に、締め付けがきゅっと強くなる。同時に、奥から湧き出る蜜が、格段にその量を増した。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "はあっ……あ……あく……ん、んあぁ……っ", "speaker": "空" }, { "utterance": "……空の中、凄いヌルヌルしてきて……これならもう少し……", "speaker": "大地" }, { "utterance": "明らかに痛みを忘れて感じている空。もっと感じてほしくて、僕はその豆を指で軽くつまんだ。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "だ、だめぇ、何か、びりびり……ん、んあ、あふっ!", "speaker": "空" }, { "utterance": "びくん、と身体を震わせて、下半身からの快感に震える空。締め付けがより力を増すものの、溢れる蜜が潤滑油となって、僕をもっと奥へと導こうとする。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "あ、か、はぁ……ん、あ、あく、はあぁ……", "speaker": "空" }, { "utterance": "う、く……空、きつい、けど……動けるよ……", "speaker": "大地" }, { "utterance": "ゆっくり、本当にゆっくりだけど、空の中を前後に動く。熱くトロトロの空の中。一本一本のヒダが、僕を逃がさないとばかりに絡みつき、締め上げる。\n擦られる僕自身に、背筋を快感が駆け上っていった。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "だ、大地、が……わたしの中で、動い、て……", "speaker": "空" }, { "utterance": "そしてそんな僕に、空が甘い声で鳴く。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "い、痛い、けど……ぞくぞくって……", "speaker": "空" }, { "utterance": "ぷるぷると震える細い肩。結合部から広がる快感は、空にとってきっと初めてのものだと思う。\n空は何かをガマンしてるみたいに、必死に葉を食いしばっていた。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "あ、あ、ああっ、だ、だめ、大地……わ、わたし……ガマン、でき……", "speaker": "空" }, { "utterance": "けれど、身体の奥と外の突起からの二重の刺激に耐えかねたのか、何かをお願いするように僕を見たい。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "や、やあ……っ", "speaker": "空" }, { "utterance": "もう限界。そんな声と共に、空の割れ目の中、上の方から、熱い液体が迸った。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "え、空……?", "speaker": "大地" }, { "utterance": "だ、だめぇっ、み、見ないで!音聞かないでっ!", "speaker": "空" }, { "utterance": "真っ赤になって、叫ぶようにお願いをする空。とはいえ、この状況で見るなといわれてできるわけもない。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "身体に、力入んなくて……と、止まってくれない……", "speaker": "空" }, { "utterance": "僕と繋がったままの空の身体。その結合部のすぐ上から、ちょろちょろと流れる液体。それが何なのか考えるまでもなくって……。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "お、お願い大地、見ないで……", "speaker": "空" }, { "utterance": "いや、あの、でも……", "speaker": "大地" }, { "utterance": "空の恥ずかしいその姿から、目を離せるはずもない。羞恥に埋もれた空の顔は本当に可愛くて、そんな姿に僕自身が反応してしまう。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "え……あ、大地の大きくなって……!?", "speaker": "空" }, { "utterance": "す、すみません。女の子のこんなシーン、初めてなもので……", "speaker": "大地" }, { "utterance": "うう……大地のばかぁ……", "speaker": "空" }, { "utterance": "ごめんなさい。でも、空のはじらう姿を見て感じるなっていうのはかなり酷だと思うんです。\nやがて、すべてを出し切ったのか、放出はゆっくりと収まった。床の上には小さな水たまりが広がっている。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "あ、あの、大地……?\nわたしのこと、見損なっちゃった…?その、こんな子で……", "speaker": "空" }, { "utterance": "空が、まるで怯えるように尋ねてくるけれど、今ので見損なうような男がいたらそれこそおかしい。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "いえ、むしろ興奮してしまったくらいですから……", "speaker": "大地" }, { "utterance": "むしろ恥じらう空が見られて相当に昂ぶってしまいました。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "も、もう……大地が、あんなの好きだなんて……", "speaker": "空" }, { "utterance": "相手が空なら、どんなものでも受け入れるよ、僕", "speaker": "大地" }, { "utterance": "……あうぅ……その一言で嬉しくなっちゃうんだもん……わたし、本当に大地いないと生きてけない……", "speaker": "空" }, { "utterance": "どちらかといえば、僕の方こそ幻滅とかされても文句が言えない状況だったんだけど、それをこんな風に受け入れてくれる空は本当に可愛い。\n僕は、蜜だけでなく、さっきの放尿で更に濡れそぼった空の中を、再び動き始める。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "あんっ", "speaker": "空" }, { "utterance": "まだまだ凄くきついけど……こうして、ゆっくりなら……", "speaker": "大地" }, { "utterance": "初めの頃に比べ、少し柔らかくなったように感じる空の中、ピッタリと貼り付くように絡みついてくるそこを前後に動く。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "ん、んう……!だ、大地が動いてるの……分かる……んあっ\nあ、はうっ……な、何か、背筋、上って……んく……くふぅっ", "speaker": "空" }, { "utterance": "空、恥ずかしい思いして感じてるね", "speaker": "大地" }, { "utterance": "さっきの放尿を見られたことで、逆に敏感になってしまっているのかもしれない。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "空の中、こんなにギチギチなのに、すっごくヌルヌルしてる", "speaker": "大地" }, { "utterance": "動く度に蜜が溢れ、外へとこぼれだす。ぬちゃぬちゃと小さな水音が響き、それが僕をまた昂ぶらせていった。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "僕も、もう今すぐ出ちゃいそうなくらいで……", "speaker": "大地" }, { "utterance": "キツイのに柔らかい。その不思議な感覚に締め上げられて、僕はまた上り詰めかけていた。空の中にすべてを吐き出したい。そんな欲望が急速に湧き上がってくる。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "だ、大地って、あの、実はすっごく早い人……?その、この前も、だったし……", "speaker": "空" }, { "utterance": "聞いちゃいけないことだったらごめんなさい。そんな表情で尋ねてくる空に、思わず苦笑してしまう。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "あのねえ、僕だってこの前のが初めてで、上手いわけでもなんでもないんだから、こんな気持ちいいのガマン出来るわけないじゃない\n空の中、本当に凄いんだよ……", "speaker": "大地" }, { "utterance": "空の中でこんな風に締め付けられて、擦られて。これで平然としてられるような男は絶対にいないと思う。それくらい空の中は危険だ。\nううん。そもそも、空の身体が僕専用で、僕を感じさせるようにできているのかもしれない。そう思ってもおかしくないくらいに、ピッタリと吸い付いてくる。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "あは。そっか。わたしと同じなんだね", "speaker": "空" }, { "utterance": "空はそんな僕の話を聞いて、嬉しそうにわらった。\n空も、僕の抽挿に相当感じてくれているんだろう。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "それじゃあ、二人でもっともっとたくさんえっちして、もっともっとうまくなろ。それで、一緒にもっともっと気持ちよくなろう\nわたし、大地にもっともっと、愛されたい……", "speaker": "空" }, { "utterance": "うん。もっともっと、気持ちよくなろう", "speaker": "大地" }, { "utterance": "こんな気持ちいいこと、もっともっとしたい。そして二人で更に気持ちよくなれるなら言うことないと思う。\n少しくらいは大丈夫だろう。僕は空の中を動く速度を少し早める。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "きゃうっ……え、あ……こ、こんな、何、これ……ああ!", "speaker": "空" }, { "utterance": "きゅん、っと更にきつく締まるものの、すっかりとろけた空の中は、なんとか動くことができた。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "ま、まだこんな痛い、のに……あ、ぐっ……はんっ……き、気持ち、いいよぉ……", "speaker": "空" }, { "utterance": "その動きに空の嬌声がこぼれる。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "ん、んあっ……あ、はぁ……はぁっ!", "speaker": "空" }, { "utterance": "うく……空、す、凄く熱くて……と、溶けそう、だ……", "speaker": "大地" }, { "utterance": "わたし、も……うく……さっきから、何か……湧き上がって……きてっ……", "speaker": "空" }, { "utterance": "溶鉱炉の中にでも突き入れてるみたいに熱い空の体内。溢れる蜜をかき分けるように、空の中を荒らしていく。\n痺れるような快感がヒダの一本一本から伝わり、僕の視界を少しずつ霞ませていった。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "これって……あ、ああっ!身体、震えて……ふ、ふあぁっ", "speaker": "空" }, { "utterance": "教室であることも忘れて、空が大きく甘く鳴く。そんな声までもが、耳から僕の脳髄を犯していった。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "も、もう、限界……っ", "speaker": "大地" }, { "utterance": "ぱんぱんに膨れあがった射精欲に、僕ももう抑えがきかない。空にもっと甘く鳴いてほしくて、僕は本能のまま空を犯す。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "あ、あ、ああっ!だ、大地っ、大地!わ、わたし変っ!こ、こんな!", "speaker": "空" }, { "utterance": "だ、出すよ、空!", "speaker": "大地" }, { "utterance": "ご、ごめん、なさい!わたし……何かっ、きゃう!き、きてっ、あ、ああああ!", "speaker": "空" }, { "utterance": "確実に上り詰めてく空。その瞬間、今まで無かったくらいに空の中がきゅうっとしまった。\nその刺激に、僕はなすすべもなく欲望を撒き散らす。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "あ、ああっ!あああぁぁっ!", "speaker": "空" }, { "utterance": "そして、空の絶叫が教室に響き渡った。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "うあぁっ!", "speaker": "大地" }, { "utterance": "空の中で、びゅくびゅくと僕が跳ねているのが分かる。跳ねる度に欲望を吐き出し、空の奥に熱いものを注ぎ込んでいく。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "だ、大地の、いっぱい……凄いね、大地……さっき、あんなに出したのに……\nびゅくんびゅくん、って、わたしの中で……暴れてる……", "speaker": "空" }, { "utterance": "ぼ、僕も、驚いてる……最後の空、信じられないくらい、気持ちよくて……", "speaker": "大地" }, { "utterance": "既に一度だした後だなんて思えない。むしろずっと溜め込んでたとしか思えないような量が、空の中へと吹き出していく。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "えへ……わたしも、気持ちよかった。大地で、イッちゃった", "speaker": "空" }, { "utterance": "そんな僕のすべてを受け入れながら、嬉しそうに笑う空。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "これからも、ずっと何度も、気持ちよくさせてね……", "speaker": "空" } ]
[ "空", "大地" ]
01_StellarTheater
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[ { "utterance": "風が吹いていた。昔、空と一緒に訪れた時と同じ風。\n優しくて気持ちのいい、昔のままの風。\nその風に、無数の花が、揺れていた。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "うわぁ……", "speaker": "空" }, { "utterance": "凄いね、これ……", "speaker": "大地" }, { "utterance": "その目の前に広がる光景を見て、僕らはただ感嘆の声をもらす。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "本当に、別の風景よね、これ", "speaker": "空" }, { "utterance": "七年、か。ほんと、変わるもんだね", "speaker": "大地" }, { "utterance": "別れの時に蒔いた、わずかなコスモスの種。\n再会の願いを込めた、約束の種。\nそれは、この七年で大きく広がり、あの草原の姿をあまりに大きく変えていた。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "……再会すること。一緒に茜橋東学園に通うこと\nこの花を、二人で一緒に見ること\n全部、守れちゃったね", "speaker": "空" }, { "utterance": "僕の腕をぎゅっと抱きしめ、寄り添ってくる空。僕も、そんな空を受け止めながら、この風景をジッと眺める。\n今を生きるだけじゃあ来られなかった。\n思い出だけじゃあ見られなかった。\n過去を抱いて、今に立って、未来へ向かって。そのすべてがあって、やっと手に入る風景。\n過去でもなく、今でもなく、それらの先にある未来という道。\n立ち止まっているだけでも、振り返って見ているだけでも決して覗けないその道の先。\n僕達はそこに、たくさんの願いを敷き詰めていく。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "ありがとう大地。約束、全部叶えてくれて", "speaker": "空" }, { "utterance": "空こそ、ありがとう。約束、全部守ってくれて", "speaker": "大地" }, { "utterance": "だから僕達は、その願いの叶うことを夢見て、笑い合う。\n未来にある思い出も、きっと二人で見ているはずだから。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "それじゃあ、次の約束は何にする?", "speaker": "空" } ]
[ "空", "大地" ]
01_StellarTheater
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[ { "utterance": "到着したところで時間を見ると、きっちり約束の五分前。うん、早すぎず遅すぎず完璧だ。\n茜橋東学園学生寮。空以外の星座関係者達が暮らす場所。星亜から指定された待ち合わせが、その女子寮の入り口前だった。\n僕は入り口の壁によりかかると、空を見上げる。きっちりと澄んだ青い空。ゆっくりと流れる雲は白く、文句無しのデート日和だ。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "まあ、正確にはデートじゃないんだけどね", "speaker": "大地" }, { "utterance": "途中で勘違いをしてしまわないよう自分に言い聞かせておく。\n普段から感じているけれど、星座関係のみんなと歩いていると周囲の視線がやたらと痛い。やっぱり、あれだけの容姿の子が歩いていれば気になって当然だと思う。\nだから、きっと今日もそうなるんだろう。しかも星亜と二人っきりだし今のうちからしっかり心構えをしておかないと。\nデートというのは名ばかりの、ただの二人で行く捜査だけれど、それでもワクワクしちゃうのは仕方ないと思う。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "そろそろ時間かな", "speaker": "大地" }, { "utterance": "おはよう、橘くん", "speaker": "星亜" }, { "utterance": "改めて時間を確認しようとした刹那、寮の扉が開き、中から私服姿の星亜が姿を見せた。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "待たせちゃったかしら。ごめんなさいね、わざわざこっちにまで来させておきながら", "speaker": "星亜" }, { "utterance": "そこまで遠いわけじゃないからね、全然問題ないよ", "speaker": "大地" }, { "utterance": "橘君のいいところよね。そういうことを笑いながら言ってくれるから、こっちも気が楽だわ", "speaker": "星亜" }, { "utterance": "そうかな。でもさ、こういう時に女性をエスコートするのは男の役割だからね\nいい女は準備にも時間がかかるもんだって、アニキにもよく言われるよ", "speaker": "大地" }, { "utterance": "あら、意外に紳士なのね、橘くんも、乾さんも。ちょっと見直しちゃった", "speaker": "星亜" }, { "utterance": "今までどういう風に思われてたのかが凄く気になるなあ", "speaker": "大地" }, { "utterance": "そう?聞きたければ教えてあげるけど……どうする?", "speaker": "星亜" }, { "utterance": "実に楽しげに、クスと笑いながら言う星亜。これは聞いたら負けな気がするぞ。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "謹んで辞退させていただきます", "speaker": "大地" }, { "utterance": "あら、残念ね。素敵な自分を見出せたかもしれないのに", "speaker": "星亜" }, { "utterance": "むしろ不適な自分が見つかりそうですから", "speaker": "大地" }, { "utterance": "正直、何を言われるのか心当たりが多すぎて困ります。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "それは正しい判断かもしれないわね\nそれじゃあ、行きましょう", "speaker": "星亜" }, { "utterance": "言って、僕の手を取り歩き出す星亜。その笑顔に釣られるようにして僕も並んで歩き出した。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "それじゃあ、まずはどこから手をつけようかしら", "speaker": "星亜" }, { "utterance": "聞き込みなんだし、やっぱり人が大勢いるところだと思うけど", "speaker": "大地" }, { "utterance": "今日は休日だもの。それこそちょっと足を伸ばせばいくらでも人がいるわよ\nまあ、この辺りで定番とするなら、やっぱりモールかしらね", "speaker": "星亜" }, { "utterance": "やっぱり、そこかなあ", "speaker": "大地" }, { "utterance": "一人でもいいから、約束を失ったっていう人に直接当たれればいいんだけど。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "ところでさ、昨日言ってた、僕に聞いておいてほしいことって……", "speaker": "大地" }, { "utterance": "ちらりと星亜の方を向いて、僕は気がついた。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "あ、星亜、そこは……", "speaker": "大地" }, { "utterance": "そう呼びかけようとした瞬間。まさにタイミングの神が降臨した。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "え?", "speaker": "星亜" }, { "utterance": "あまりにも絶妙過ぎるタイミングで下の通気口から吹き上がった風。それが、完全に無防備状態だった星亜の短いスカートを、思い切りまくり上げる。\n星亜の、普段は決して見ることの出来ない布地が、思い切り僕の視界へと飛び込んできた。\n清楚な、白のレース。\nあまりに突然のことに、星亜は何が起こったのかも分からず唖然と立ち尽くす。\n僕達男という種族にとって、とんでもない贈り物をばらまきながら。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "きゃああっ!", "speaker": "星亜" }, { "utterance": "が、さすがに周囲の目線から察したのか、星亜が即刻覚醒する。\n慌ててスカートを押えるけれど、吹き上がる風は広範囲な上に強く、押さえきれない。\nむしろ必死に抵抗するその表情が、より一層見ている僕らの心を昂ぶらせる。\nそして、そんな星亜の努力をあざ笑うかのように、下から吹き上げる風は、弱まろうとはしなかった。\nバサバサとスカートを捲り上げながら、猛烈な勢いで吹き上がり続ける。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "い、いつまで吹き上げてるのよぉっ!", "speaker": "星亜" }, { "utterance": "ほとんど半泣きに近い状態で、必死にスカートを押える星亜。なんとかしてあげたいけど、こういう時男は無力だ。\nまさか後ろからスカートを押さえるわけにもいかないし。一秒でも早く風がやむのを祈ることしか出来ないわけだけれど。\nその一方で、一秒でも長くこの状態が続くことも心の奥底でちょっぴりだけど願ってしまう。やっぱり、僕はどうしようもなく男だなあ。ごめん星亜。\nただそれでも、他の男に星亜のこの格好を見られるのは正直嫌な気がした。だから少しでも隠せるように、僕は星亜の後ろに立つ。\nそしてそれからほどなくして、星亜にとっての苦難の時間は終わりを告げた。一気に弱まり収まっていく風に、星亜のスカートがゆっくりと戻っていく。\nというか、今更だけど通風口の上からどけばすぐに解決したんじゃ……。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "えーと、その……大丈夫星亜?", "speaker": "大地" }, { "utterance": "だめ、くぢけそう……こんな辱め受けたの初めてよ……\n見た……わよね、橘くん……", "speaker": "星亜" }, { "utterance": "その目を潤ませて、力なく僕を見る星亜。見えなかったって言っても、さすがにこれは信じないよなあ……。\n僕はしっかりと脳裏に焼き付けてしまったさっきの光景をリプレイしながら、申し訳なさそうに頷いた。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "……自分の不注意が原因だもの……仕方ないわよね……", "speaker": "星亜" }, { "utterance": "星亜は涙ぐみながら、小さく溜息をつく。ここでちゃんと原因を認められるところが星亜の凄いところだよね。\n……でも、星亜には申し訳ないけど……眼福でした。\n記憶を映像で残せる機械の発明はまだでしょうか。ああ、この記憶を記録に変えて登録したい。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "橘くん……顔がニヤケてるわよ……", "speaker": "星亜" }, { "utterance": "すいませんっ。僕男の子なんですっ。それもすこぶる健康的なっ", "speaker": "大地" }, { "utterance": "まったくもう。いくら男性だからといっても、少し橘くんはスケベすぎるわよ\nとりあえず、私も全力で忘れることにしたから橘君もただちに忘れること\nほら、さっさと調査に行きましょ", "speaker": "星亜" }, { "utterance": "その場から逃げるように、スタスタと早足で歩き出す星亜。僕も、その綺麗に伸びた背中を追って、歩き出した。\n……忘れろって言われても、やっぱり無理だよなあ。\n星亜には本当に申し訳ないけれど……。", "speaker": "地の文" } ]
[ "星亜", "大地" ]
01_StellarTheater
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[ { "utterance": "陽も沈みかけたこの時間。僕達は帰路へと就く前に、この水辺の公園、紅公園へと足を運んでいた。\n季節柄、人も少なく静かなこの場所は、人に聞かれたくない重要な事を話すのに丁度いい。そう考えたからだ。\n結局、捜査の方は思ったほど……というか、まったく手がかりになりそうなことはわからなかった。\nただ、街でも同じようなことが起きてるとわかった事だけが収穫といえば収穫だったくらいだ。\nこれに関しては、他のみんなが何か情報を入手してることを願いたい。\n僕らは川の方から流れて来る風を感じながら、誰も座っていないベンチに、適当に腰を下ろす。\nこうして見ると、すごくムードのありそうなシチューションだが、星亜の表情は真剣そのものだった。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "それで、星亜。僕に聞いておいてほしいことってなんだったの?", "speaker": "大地" }, { "utterance": "……今回の候補生試験の目的よ", "speaker": "星亜" }, { "utterance": "そう切り出す僕を、星亜は真っ直ぐに見ながら言った。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "目的って、次の十二星座を決めること、じゃないの?", "speaker": "大地" }, { "utterance": "それがあるのも間違いないわね。でも、それなら橘くんを巻き込んだりしないわ\nいくら七星さんの占いが導いたからって、十二星座候補試験の中心に一般人を置くなんて前代未聞よ\nしかも、十二星座が四人もこんな一つの街に集まるなんて、何かを恐れてるとしか思えない\n候補試験のためでなく、別の何かを解決するために、と考えた方が自然だわ", "speaker": "星亜" }, { "utterance": "その言葉には少しも迷いがなくて、もう確信してるように言い切る響きがあった。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "私は、今回の事件がその本命なんじゃないかと睨んでるのよ", "speaker": "星亜" }, { "utterance": "今回のって、僕達が今調べてる、この事件?", "speaker": "大地" }, { "utterance": "ええ\n約束を無かったことにする。そんなこと、どうやったら可能にできると思う?", "speaker": "星亜" }, { "utterance": "それは……", "speaker": "大地" }, { "utterance": "星亜の質問に、思わず言葉がつまる。\n実際、分かってはいた。一人や二人ならなんらかの偶然なのかもれない。けれど今回は違う。\n昴先生が陽夏さんに相談するほどの数が発生していて、学園外でもやっぱり起こっていた。どんな手段を使ったにせよ、答えはもう一つしかない。\nそんなことを可能にする力は一つしかありえない。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "……異星人", "speaker": "大地" }, { "utterance": "やっぱり、ちゃんとその可能性も考えてたみたいね。橘くんって、適当にやってるフリしてちゃんと本質も見てるのよね\nまあ、だから今回も話しておこうと思ったんだけど。味方でいてほしいから", "speaker": "星亜" }, { "utterance": "味方?", "speaker": "大地" }, { "utterance": "ええ。私はね、今回の星座候補試験が、この事件の原因になっている異星文明品を回収するためのカモフラージュじゃないかって睨んでるのよ\n恐らくは、それなりに危険度が高いミッションなんでしょうね。そして、そんな事件の中枢に一般人を参加させるわけにはいかない\nだけど七星さんの占いは、橘くんの存在の必要さを語ってしまった。だから、十二星座候補試験を利用して、あくまでも試験の協力者として参加させた\nけど、カモフラージュであったとしても、正式に発表してしまっている以上、これが十二星座候補試験であることに変わりはないわ。その中止が言い渡されるまではね\n私は、それを逆手に取ってやるつもりなの\n橘くんを守る意図もあるのかもしれないけど、十二星座を四人も集めるほどの事件だもの\nその原因となる異星文明品を候補生が回収したとなれば、周囲の評価は相当なものになるわ\nちょっと贅沢を言えば、将来的には、あの獅子座すら追い越す逸材なんじゃないか、なんて噂話くらいは許されてもいいレベルじゃない?", "speaker": "星亜" }, { "utterance": "その時の光景を想像しているのか、星亜は本当に楽しそうだった。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "なるほど。つまり、その回収を僕に手伝えってことか", "speaker": "大地" }, { "utterance": "橘くんが、中立の立場にいることは分かってるわ。だから、他のみんなを手伝うな、なんて言うつもりはないの\nでも、多分今の段階でここまで気付いてるのは私だけだと思う\nだから私は、それに合わせた捜査をするつもり", "speaker": "星亜" }, { "utterance": "なるほどね。つまりこの件に関しては、僕からは何も言わずに候補生が気付いたことだけ調べるようにしてくれっていうことか。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "まあ、候補生の優劣を決める試験だしね。それに気付くことも大切だと思うし。いいよ", "speaker": "大地" }, { "utterance": "ありがとう。助かるわ", "speaker": "星亜" }, { "utterance": "ただ、万が一の可能性として、星亜のその予測が外れているかもしれないけど……", "speaker": "大地" }, { "utterance": "そうね、その可能性が全くないとは言わないわ\n私自身はほぼ確信してるけど、だからってそれが事実になるとは限らないし……\nもし、この予測が全くの見当違いだったとしたら……まあ、それは私の能力が所詮はその程度だったってことよ\nもっとも、それで終わらせるつもりはないけどね", "speaker": "星亜" }, { "utterance": "……星亜って、本気で十二星座になりたいんだね", "speaker": "大地" }, { "utterance": "当然よ。選ばれた物だけがなれる星座。その最高峰である十二星座。私はね、追いつきたいの。そして、越えたいのよ", "speaker": "星亜" }, { "utterance": "越えたい?", "speaker": "大地" }, { "utterance": "そう、越えたい……あの、偉大過ぎる十二星座。獅子座を", "speaker": "星亜" }, { "utterance": "獅子座……陽夏さんを越えたい。\nそう語る星亜の目は……どこか少し悲しげに見えたような気がした。", "speaker": "地の文" } ]
[ "星亜", "大地" ]
01_StellarTheater
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[ { "utterance": "さて……今日はどこから調べようかしらね", "speaker": "星亜" }, { "utterance": "うーん……", "speaker": "大地" }, { "utterance": "とりあえず、例によって全員で固まっても仕方ないということで、校門で僕達は散開。\n僕は約束通り星亜と一緒に行動することにした。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "だけど、これで私の考えが正しいっていう可能性は高まったわね", "speaker": "星亜" }, { "utterance": "確かにね。捜査を初めてまだ数日。にも関わらず、まだ手がかりが得られないことに対する十二星座の反応", "speaker": "大地" }, { "utterance": "普通の事件と比べて過敏過ぎるわ。特に姉さんの反応\nこの事件は、今までのものと明らかに違う", "speaker": "星亜" }, { "utterance": "候補試験自体が、この事件を解決するためのカモフラージュ、か\nそうなると、この事件の犯人はやっぱり……", "speaker": "大地" }, { "utterance": "ええ、以前にも言った通り、未知の技術を持つ異星人", "speaker": "星亜" }, { "utterance": "確かに、そう考えるのが一番自然だし、説得力があるよね。", "speaker": "地の文" }, { "utterance": "異星人が直接地球に降りてきているのか、それとも何らかの道具を送り込んできてるのか、それはわからないけど\n少なくとも、これからの捜査は異星人が完全に絡んでいることを前提にした方がいいわ", "speaker": "星亜" }, { "utterance": "そうだね。後は、その上でどう調査をしていくか、だけど……", "speaker": "大地" }, { "utterance": "そうね……異星人の仕業だとしたら、そんなわかりやすい証拠を残してくれるとは思えないし……\nやっぱり、橘くんのホロスコープに頼るのが一番確実じゃないかしら", "speaker": "星亜" }, { "utterance": "当時の状況を再生か……でも、キーワードどころか、場所すら分からないからね。何かヒントがない事にはどうしようもないよ", "speaker": "大地" }, { "utterance": "ええ、だから、今は事件の被害者本人を探すしかないと思う\nそれで一気に解決するとは思えないけど、現実として他に当てもないもの", "speaker": "星亜" }, { "utterance": "だね。不謹慎だけど、被害者そのものを見つけるのはさほど大変じゃなさそうっていうのが救いといえば救いかも", "speaker": "大地" }, { "utterance": "誰か一人でもいい、何かヒントになりそうなことを覚えててくれれば……もしくは、約束を失うシーンそのものをホロスコープで見ることができれば……", "speaker": "星亜" }, { "utterance": "結局、方向性が決まってもやることは変わらないのか", "speaker": "大地" }, { "utterance": "あら、それでも対象者をある程度絞り込めるようになっただけ、十分前進してるわよ\n当てもなく、片っ端から聞いて周るよりよっぽど効率的でしょう", "speaker": "星亜" }, { "utterance": "確かに。希望があるのとないのとじゃあ、士気も違うし\nよし、それじゃ、改めて行くとしようか!", "speaker": "大地" }, { "utterance": "ええ。絶対に情報を掴んで見せるわ!", "speaker": "星亜" }, { "utterance": "それぞれお互いに気合を入れつつ、僕達は事件の被害者を探しに町へと飛び出していった。", "speaker": "地の文" } ]
[ "星亜", "大地" ]
01_StellarTheater
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Rosebleu-1on1-Dialogues

2025/05/17 3人での対話のデータを追加

概要

@matsuxrさんが公開しているRosebleuデータセットのうち、1つのシーン中で1対1の会話が行われていレコード(登場人物が2人のみのもの)を抽出し、さらに各話者ごとの連続した発話をまとめ、データセットとしてまとめたものです。

データの提供者である青猫様、およびデータをまとめデータセットの形式で公開いただいた@matsuxrさんに感謝いたします。

Rosebleuデータセットについて

元データセットから概要文を引用します。

Rosebleuブランドの代表を務められていた青猫様にご提供いただいた、 解散したRosebleuブランドのゲームタイトルのうち、権利譲渡等を行っていない10タイトルについてのシナリオから作成したデータセットです。JSONL形式になっています。主には大規模言語モデルのファインチューニング用途を想定していますが、LICENSEに違反しない用途ならばどんな用途でも問題ありません。
https://ja.wikipedia.org/wiki/Rosebleu

注意

Rosebleuデータセットは成人向け美少女ゲームのシナリオから作成されており、本データセット中にもセクシャルな描写を含むテキストが存在します。

ライセンス

元のデータセットはapache-2.0ライセンスで配布されています。以下、引用です。

「学習用データセットに加工したものは、自由に配布頂いてかまいません。 利用目的について営利・非営利の制限は不要です。」という内容でお預かりしたので、APACHE LICENSE, VERSION 2.0とします。(C)Rosebleu

本データセットも元データセットと同様にapache-2.0ライセンスの元公開いたします。

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